167、赤毛の少女 ページ22
「はぁ……」
Aは今日何度目が分からないため息をついた。
国木田に言われてうずまきで休憩をしているが、考え事をしている所為でなかなか頭が休まらない。
「あの悪夢、何か意味があるのかな」
ここ最近、毎日夢を見る。しかも悪夢を。
その夢には決まって自分と容姿がそっくりな女が出てきて、涙を流しながら「ごめんね」と言う。
その直後に「自分の罪を忘れるな」という声が響き、女は「思い出して」と呟く。
「自分の罪?思い出して?あの女は誰?」
ぐるぐると思考を回すが一向に答えが出そうにない。
所詮夢は夢であり、現実には関係ないのだろうか。
「でも何かありそうなんだよなぁ……」
「何かって?」
ぼんやりしていると、突然上から可愛らしい声が降ってきた。
見ると、お盆を持った赤毛の少女が不思議そうに此方を見ている。
「はいこれ、貴女が頼んだミルクティーよ……って、貴女すごい顔よ!?」
赤毛の少女はAの隈を見て大声を出す。
このくらい大丈夫、と言いながらミルクティーを口に含んだ。
「大丈夫って言ってもねぇ、顔色悪いし。
最近よく眠れてないの?」
「まぁ、そんなところ」
「そう」
少女は素っ気ない返事をしてキッチンに姿を消した。
しかし少しすると戻ってきて、机の上にポンと何かを置いた。
「貴女探偵社の子でしょ?……別に心配してる訳じゃないけど、貴女の仕事がうまく行かないと皆に迷惑をかけるんじゃなくって?」
机に置かれたものをよく見ると、バラの香りの入浴剤だった。
「これ……貰っていいの?」
「良いわよ。お、お礼とかは別に要らないから!」
「優しい……」
Aの虚ろな瞳に光が戻ってくる。
ガシッと少女の手を掴むと、Aは言った。
「じゃあ、お礼の代わりにお友達にならない?」
笑顔でそう聞けば少女は目をこれでもかと丸くした。
別にいいけど。と顔を背けた少女の頬はほんのり赤く染まっている。
「私はA、国木田A!貴女は?」
「ルーシー・モード・モンゴメリよ」
「よろしくね!ルーシーちゃん」
一方的にそう言って微笑むと、Aは机にお代を置き、ルンルンでうずまきを出て行った。
不思議な子ね……、というモンゴメリの言葉を残して。
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ぺぽん(プロフ) - 。さん» 読んでくださりありがとうございます。読者様の言葉が制作するための活力になります!これからも頑張りますね💪 (7月4日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
。 - とっても面白いですね!応援してます (7月4日 1時) (レス) @page36 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます🥹そんなこと言っていただけて、私の方こそ感謝でいっぱいです!これからもこの作品をよろしくお願い致します🙇 (7月3日 8時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぺぽんさん» 私こそペぽん様に感謝しかありません!こんな素晴らしい作品を書いて頂いて.... ペぽん様のペースで良いので、更新頑張ってください(´・ω・`)これからも応援してます(*⌒▽⌒*) (7月3日 7時) (レス) @page36 id: e073f8258e (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです🥰これからも皆様に楽しんでいただけるよう、全力を尽くしますね! (5月30日 20時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2023年2月18日 20時