164、鴉の目 ページ19
「ナイス一本だったねぇ」
太宰が近づいてくる。
彼は気絶している青年の肩に手を置くと、異能を発動させた。
「よし、これで凶暴化したあのラグドールも異能が解けた。それで、あの猫は?」
「ビルの上です」
Aがなんの気無しに大通りに立つビルを指差すと、太宰は驚愕の声をあげる。
「え!もしかしてあのビル!?Aちゃんどんだけ鈴とばしたのさ!」
「え、普通に投げただけですけど……」
「あのビル七階はあるからね!?すごい飛距離だよ!?」
「そうですか?」
どうやらAは、物を遠くに飛ばす能力が素晴らしくあるらしい。
二人は七階のビルの屋上まで行き、猫を保護して探偵社へと帰ったのだった。
「はぁー疲れた」
探偵社の扉を開けると、皆の視線がこちらに集まる。
敦は目を丸くして言った。
「あ!もしかしてその猫…」
「うん、例の凶暴化されたラグドールだよ」
「じゃあ、任務は成功したんだね!」
「うん!大成功!」
親指でグーを立てながら、猫をそっと床におろす。
「可愛いですわこの猫!」
「モフモフ」
「解体してもいいかい?」
「与謝野先生絶対にやめてください!!」
一部物騒な発言が聞こえたが、それは見逃そう。
Aは賑やかな声に背を向けて、書類整理に勤しむ国木田のデスクに近づいた。
「お兄ちゃん、任務完了したよ」
「あぁ、よく頑張ったな。お前が入社してからの初仕事、無事に終えられてよかった。異能力は順調に扱えているか?」
「うん。…それなんだけどね、今回は異能力を使わずに、お兄ちゃんが教えてくれた技で犯人を捕獲したの」
「そうだったのか。でも、慢心するにはまだ早いからな。これからはもっと忍耐力と判断力を高められるように特訓していく。しっかりついて来い」
「ッ、うん!」
これからも頑張ろう。
探偵社の一員として、皆の役に立つために。
「Aさん!このラグドールちゃん凄く可愛いですわよ」
「Aも触ってみて」
ナオミと鏡花に言われ、猫の白い毛並みに手を滑らせる。
「わっ、フワフワもこもこ!」
「でしょう?」
やる気と笑顔に満ち溢れるAの心は、とても幸せに満ちていた。
カァー……カァー……
そんな幸せに溢れる少女を、一羽の鴉がジッと見つめているとも知らずに。
「さぁ…余興の始まりです」
少女に黒い影が、迫っている。
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ぺぽん(プロフ) - 。さん» 読んでくださりありがとうございます。読者様の言葉が制作するための活力になります!これからも頑張りますね💪 (7月4日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
。 - とっても面白いですね!応援してます (7月4日 1時) (レス) @page36 id: 26c600857a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます🥹そんなこと言っていただけて、私の方こそ感謝でいっぱいです!これからもこの作品をよろしくお願い致します🙇 (7月3日 8時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ(プロフ) - ぺぽんさん» 私こそペぽん様に感謝しかありません!こんな素晴らしい作品を書いて頂いて.... ペぽん様のペースで良いので、更新頑張ってください(´・ω・`)これからも応援してます(*⌒▽⌒*) (7月3日 7時) (レス) @page36 id: e073f8258e (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ココロさん» コメントありがとうございます、とっても嬉しいです🥰これからも皆様に楽しんでいただけるよう、全力を尽くしますね! (5月30日 20時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2023年2月18日 20時