拝啓神様…ちょっとチートすぎやしませんか？【ワールドトリガー】 (ページ13)

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第11話　迅悠一② ページ13

迅side

今日は防衛の任務が終わってすぐに町をぶらぶらしてみることにした。

そうしたらいいことがあるっておれのサイドエフェクトが言ってるからだ。

いつものボンチ揚を食べながら道を歩いていると高校生、かな。

スマホをいじりながら前から歩いてきた少女にぶつかってしまった。

ちょっとぼんやりしすぎた。

「すみません」

迅「いえ……、ちょっと少しいい？」

「はい…？…っ」

少女は言葉に詰まった。

まるで、会いたくない人に合ってしまったときの反応。

そして、その瞬間見えた彼女の無数の未来。

普通なものもあれば、酷く残酷なものもあった。

でも、確かに見えたのは、彼女の力が今後、必要になってくるということ。

迅「いやぁ、ごめんね。引き留めちゃって」

「いえいえ、暇してたんで」

近くの喫茶店に入ってコーヒーを注文する。

彼女も同じものを頼んでいた。

迅「まず、自己紹介しよっか。おれは迅悠一。ボーダーの実力派エリートだ。よろしく」

「木霊林檎です。どうぞよろしく」

林檎ちゃんは普通に美人の部類に入る容姿をしていた。

なのに、どこか人を突き放すようなオーラというか…雰囲気を纏っていて実年齢よりも大人びて見える。

そうか、目だ。

彼女の何かをあきらめたような、覚っているような目がその雰囲気を生み出しているんだ。

それからの話はトントン拍子で進んだ。

彼女はボーダーに入ると言ってくれたし、玉狛にも来てくれそうだ。

でも、ボーダーに入りたいという理由を聞いてみた。

ボーダーに入ってくれるという未来は出会った時点では実現に相当苦労すると思っていたのに、案外すぐに決まってしまったからだ。

「死んだときに、ああ、無駄な人生だったなぁ。なんて思いたくないんだよ。せめて、何か一つだけでもいいから生きててよかったって思えるものが欲しいんだ。この前それを痛感しちゃってさ～」

コーヒーをもてあそびながら言うその姿は、とてもじゃないけど高校生には見えなかった。

迅「ねぇ、本当に高校生？年齢詐称してない？」

「ふぅん。わかるんだ。言ったでしょ、訳ありだって」

迅「よければ教えてほしいなぁ、なんて」

「君との間にそれなりの信頼関係があるなら話してもいいけどって言うつもりだったけど、事情を知らない人がいるのは面倒だし、特別に教えてあげるよ」

林檎ちゃんはフワリと妖艶に笑った。