第50話 気づく ページ5
目があった瞬間、見えた彼女の未来は、普通のものから残酷なものまでさまざまだった。
でも、その中に彼女が"シアワセ"になる未来は何処にもなかった。
どの未来でも彼女は無表情で普通だった。
どんな残酷なことが目の前で起こっていても、無表情。
壊れていく人形を見ているかのように無表情で、何も感情を持ってない様だった。
笑う未来なんて一つもなかった。
だからかもしれない、気になってしまったのは。
確かに、彼女はおれが思い描く"最善"のためにはなくてはならない存在だけど、それ以上に。
彼女に幸せになってほしいと思った。
まぁ、あの時は自分より年下としか思ってなかったから。
まさか年上で異世界人だったなんて思わなかった。
それが、今はどうだ？
おれの見間違いか夢じゃなければ彼女はかすかにだけど確かに笑った。
迅「やっぱり、未来は変えられるんだよね」
「なんだ、おきてたのか」
顔をひねるとジャージに着替えた林檎が立っているのが見えた。
迅「さっき起きてさ。布団ありがと」
「おう、もう泊まってきなよ。疲れてるんでしょ？」
迅「そういうわけにもいかないんだよね。実力派エリートは忙しいから」
「そうか」
林檎はそれだけ言って、台所に向かった。
さて、おれもそろそろ玉狛に帰るとするか。
立ち上がって玄関に行く。
迅「冷たっ。何？」
首筋に冷たいものが当てられた。
犯人は林檎。
「土産。玉狛にでも帰ってから飲みなよ」
迅「コレ、お酒だよね…。なんで買えるの？」
「今日太刀川に無理やり押し付けられたんだ」
迅「あの人何やってんの…」
呆れた。
あの人はいっつもそうだよなぁ。
玄関を出ると冬の寒さが身を切った。
「…ちょっとまってろ」
林檎は何かを思いついたのか中に引っ込んでしまった。
このまま帰ってもいいけど待て、と言われている以上勝手に帰ったらあとで怒られるだろうな。
「ほい、マフラーつけてきなよ」
迅「え、いや悪いよ」
「いいのいいの。ほら、年長者の好意は素直に受け取れ！」
グイグイと押し付けられ、しぶしぶ首に巻く。
さっきよりは温かい。
「おやすみ」
迅「うん。お休み…。林檎の幸せな未来はおれが必ず守って見せるから」
「？」
迅「じゃあまた明日〜」
小さくつぶやいた言葉は自分へ向けたもの。
必ず、守って見せる。
そう、この気持ちに名前を付けるなら…。
恋
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syun - 面白かったです！迅さんともっと絡んでほしい！続き待ってます (2016年7月28日 19時) (
レス) id: 8186d38d99 (このIDを非表示/違反報告)
せきらいん - ぅゎ林檎さん容赦なぃ 面白かったです、更新頑張ってください。 (2016年6月3日 3時) (レス) id: 117e6ef6eb (このIDを非表示/違反報告)
レオ(プロフ) - やばい！続きがきになる！！更新頑張ってください！！ (2016年2月23日 22時) (レス) id: 216997d988 (このIDを非表示/違反報告)
璃莠(プロフ) - 音階さん» 了解しました！この作品がもっと有名になるように陰ながら応援しますｲｬｯﾊｱｧｧｧ(｀･ω･´) (2015年10月29日 0時) (レス) id: 267a029a19 (このIDを非表示/違反報告)
音階(プロフ) - 璃莠さん» 応援ありがとうございます！自分でも確認してるつもりなのですがやはりミスが出てしまうので、見つけたらご報告お願いします (2015年10月28日 23時) (レス) id: 5810283552 (このIDを非表示/違反報告)
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