乙女椿がおちたから【オリジナル】【創作】【男主】 (ページ6)

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或る犯人の独白 (閲覧注意) ページ6

始めは単純で分かりやすい好意だった。

彼女の笑顔を見るたび、彼女の体が成長していくたびに、

『自分だけの物にしたい』と感じるようになった。

そして、彼女が完全無欠になった時から、始めて、『壊したい』と思った。

彼女の全てを奪いたい。自分だけのものにしたい。永遠に閉じ込めて、眺めていたい。

欲が溢れて仕方がなかった。抑え込むことに必至だったのだ。

そして、溢れ出る情欲に抗う事などできず、計画を実行した。

最後まで、彼女は美しかった。

扇情的な眼差しに、弧を描き、潤った唇、滑らかな肢体。細く長い指に、形の整った指。

全てを自分のものにできたのだ。

この美しい、どの美術品よりも価値のある、
早乙女椿という人間を、人々に見せたくなった

見せるならば、魅せるならば、今よりも、もっと美しいものにしたい。

ミロのヴィーナスが何故、美術品としてとても価値があると言われたか。

それは、"欠陥があったから"だ。

元々美しかったものに、欠陥ができれば、人々はそれに興味を持ち、あるものは考察し、あるものはそれを実際に見に来るだろう。

ミロのヴィーナスの消えた腕と足、その謎を解明すべく多くの人物が興味を持ったように。

彼女の、消えた物を探し、考察するだろう。
そこではじめて、彼女は美術品よりも美しく、価値のある"遺産"になるのだ。

彼女の、何処が消えれば、美しくなるだろうか

腕？足？それとも……首だろうか？

そこにあるはずでないもの。"早乙女椿"を主張するもの。

一番欲しいもの。

『そうだ、顔にしよう。』

そして、彼女の首を切った後に、彼女の滑らかな肢体に、ホルマリンを打ち込んで、

神ノ木の下。神の宿る木の下に寝かせた。

彼女は永遠になったのだ。

世界一、いや、神よりも、美しい

俺だけの椿。