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そしてその日の帰り道。
既に心身ともに疲れ切っている私に、今日も校門で車を待つ私の両隣には、
HJ「…………」
TH「それでねAちゃん、次の日になったらその猫がうちの家の前にいて、」
だんまりを決め込んで隣にいてくれるヒョンジン君と、瞳をきらきら輝かせながらおしゃべりをしているテヒョン君がいる。
ヒョンジン君ともテヒョン君とも、それぞれ会話の終わり方は微妙に気まずくなってしまったものなのに、テヒョン君の方だけはすっかりいつも通りに切り替わっていて、それはそれで困惑した。
TH「……Aちゃん?」
『あ、ごめん、少しぼーっとしちゃってた。話の途中だったのにごめんね』
TH「全然大丈夫だよ。でも……どこか具合悪い?顔色が良くないよ」
『え?』
HJ「……ほんとだ。とりあえずこれ巻いて。今日迎え来るのリノヒョン?」
『ありがとう、で、今日はリノさんかな』
HJ「じゃあリノヒョンに早めに来てもらえるように電話するね」
無邪気な表情から一転して、集中した冷静な顔で私を見つめたテヒョン君を見て、合わせて私を見たヒョンジン君も少し驚いてからすぐに私に自分のマフラーを外して渡してくれた。それからすぐにリノさんに電話をかけに離れていく。
TH「リノさん?っていうのはお兄さん?」
『……私が契約した吸血鬼だよ』
TH「ああ……でも一人だけじゃないよね」
『…………うん。あともう一人、ジソンさんっていう吸血鬼とも契約してるよ』
TH「そっか」
吸血鬼というワードを出した瞬間、冷めた目になるテヒョン君に、少しだけ、恐怖を感じた。
『私は、リノさんとジソンさんと出会えてよかった。あの二人がいるから、今私はこうやって生きていられるし、ヒョンジン君とも友達でいることが出来てる』
TH「俺は、Aちゃんと出会えてよかったと思ってるよ」
『…ありがとう。でも』
TH「分かってる。続きは言わないで」
急いで私の言葉を止めるように私の手を取って、目を見つめてくるテヒョン君の眼差しの真剣さに、何も言えなくなる。
TH「Aちゃんの気持ちは分かってるし、今日は何もしないって誓う。だから、
今日一日、Aちゃんのそばにいさせて」
『え?』
TH「体調が悪そうだから、本当に心配なんだよ。Aちゃんからしたら大したことないのかもしれないけど、俺がちゃんと看病したい」
『え、ちょっと待って何言って、』
TH「俺は……」
「もう誰も失いたくない、」
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いちごだいふくlike(プロフ) - はじめましてさん» はじめまして!コメントありがとうございます!どのお話も読んでいただけたようでこちらこそ本当にありがとうございます!ぜひたまにでも思い出してもらえたらと思います、! (2022年6月27日 7時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
はじめまして - 今朝作品をみつけて一気にはじめから最後まで読み切りました。いろんなENDや続編とても面白かったです。 (2022年6月26日 13時) (レス) @page48 id: dc356df402 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 錆猫さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、最後までお付き合いくださりありがとうございました!!他作品も頑張っていきます……!!! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
錆猫(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉なんか、もう、ほんとに最高です…!楽しい時間をありがとうございます!ほかのお話も楽しみしてます!! (2022年4月4日 14時) (レス) @page48 id: 5bb6e7e4d5 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 藤さん» コメントありがとうございます!いつもこうしてコメントを下さり、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。これからも末永くお付き合い頂けたら幸いです🤍 (2022年4月4日 4時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすてい | 作成日時:2021年12月1日 0時