ご近所付き合いはじめました。【Fischer's】

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さぁ困った。
キッチンで完全自己満のお菓子作りをしようとした矢先のイケメンマウンティング。これはきつい。年齢=彼氏いない暦の私になんて仕打ちだ。

なんて、口が裂けても言えない。

『まずは卵液を作ります。あ、ちょっと甘めの方が皆さんお好きですかね？』
ﾏｻｲ「あー……シルクとダホはそんなに甘いの好きじゃないかも。ダーマとモトキは逆だけど」
『じゃあ分けて作りましょう。マサイさんはどっちが好みですか？』


マサイさんは、俺そんな詳しくないからなー、と呟いて、またにこりと爽やかに笑った。

ﾏｻｲ「Aさんと、同じがいいかな」
『っ！！？』

ねえ何このイケメン！！(荒)
私を落としにかかってるのか、と意味の分からない言葉が出てくるぐらいにあざとく、そしてまたイケメンで。一瞬不自然に固まってしまったのを何とか解いて、無理やりに体を動かす。

『マ、サイさん……あの、そういうこと軽々と言うの本当によくないと思いますよ……ちなみに私苦めが好きなんですけど大丈夫ですか……？』
ﾏｻｲ「なんでそんな途切れ途切れなのw
あ、プリンは全然大丈夫だけど」

それからはなんやかんやで卵液を作り終え、さあお次はカラメルだ、となったとき。

ﾏｻｲ「俺二つ気になることがあってさ」
『はい？』
ﾏｻｲ「いや、まあ……一個はプリンの事で、もう一個はAさん関係なんだけど」


プリンの事から聞くね、と前置きされて出たのはカラメルは砂糖の種類を変えると味の変化があるのか、という真面目な質問だった。
結論からいえば白砂糖と黒砂糖、もしくはてんさい糖等のようにジャンルが変われば味も変わる。材料選びからお菓子作りは始まっていると、どれだけおばあちゃんから聞いたことか。

ﾏｻｲ「なるほど……いやまあ普通に気になっただけ」
『また機会があれば、いろんなカラメルのプリンとかお作りしますよ』
ﾏｻｲ「まじで！？めっちゃ楽しみ！
あ、で、二個目の事聞いていい？」

さあこちらは私関係とさっき前もって予言されてたし、何が飛んでくるんだろうか。怖い。

ﾏｻｲ「……そろそろ、俺ともタメで話してほしいなと思って」

おう……()
確かに、鍋の日に仲良くしよう宣言してから今までそんなに距離感は変わってなかった。もしかして、マサイさんの方は仲良くなりたいと思ってくれてるんだろうか。そう思うと何だか可愛らしくて、つい笑ってしまった。

『よろしく、ね？』

恐る恐る言うと、目の前の端正な顔が一気にほころんだ。

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