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「へぇ、じゃあもう10年も?」
「そうなんですよ。でも高校から地元を出たので。できれば続けたかったんですけどねぇ。」
「僕も小学生からやってて。でも全然上手くならなかったんですよねぇ。」
急に声をかけられて、正直すごく嬉しかった。
…男性は苦手だったけど。
この人は大丈夫だ。
「中学時代、すごいピアノが上手な同級生がいたんですよ。」
ドキッとした。
…そして、少し期待した。
…私のことだったらいいなぁって。
「へぇ、どんな人だったんですか?」
興味本意で聞いた。
すると、懐かしむような表情に変わった。
「…少し見た目がふくよかな子だったんですけどね、」
あ、絶対私だ。
「中学って、すごい思春期真っ只中じゃないですか。
けど、誰からも悪口言われないんですね。
………単純に、凄いなって思いました。
ちょっと失礼になっちゃうんですけど、性格が良くてここまで好かれるなんてって。
…すみません、こんな話。」
そんな風に思われてたんだ。
「…いえ、凄いちゃんと見てたんですね。」
「もう全部話してもいいですか?笑」
まだあるのか。
「…中3の冬、ピアノのコンクールがあったんです。」
ドキッ
と、心臓がうるさくなった。
「…その時、プログラム順で俺が先で、その子が後で。
柄にもなく、凄い緊張してたんですよ。
なんか手も震えてて笑
正直、絶対失敗するなって思ってた時に。
………その子、声かけてくれて。
すっごい嬉しかったんです。
…でも、ろくにお礼も言えずに、地元から出ちゃってて。
それからずっと後悔してたんです。
話したかったなって。
…あれ、どうしたんですか?
顔赤いですけど笑」
………もう、隠しきれない。
「…そんな風に思っててくれたんだね、
廣瀬君。」
少しびっくりして、
「まあね、
………久しぶり、A。」
確かに、私の名前を呼んでくれた。
「あの時、すげぇ嬉しかった。まじで。
ありがとな。」
涙が出そうになった。
「…変わらないな。」
誰かに。
私のことをわかって欲しかった。
見た目じゃなくて、内面を見て欲しかった。
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ミナ @メイン(プロフ) - まぁこさん» そ、そうですか?照れます笑笑 了解しました!私も書きたいと思っていたので、近いうちに書きます! (2018年11月26日 7時) (レス) id: dbbaa59aee (このIDを非表示/違反報告)
まぁこ(プロフ) - こんばんは!衝動書きでここまでって、すごいですね!なんか、感動で泣いちゃいました!笑 よかったら、2人のその後の話?的なのを書いていただきたいです!よろしくお願いします! (2018年11月25日 21時) (レス) id: 0fca2029db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミナ | 作成日時:2018年11月25日 20時