検索窓
今日:12 hit、昨日:22 hit、合計:49,561 hit

ページ5

びっくりした。





まさか、話しかけてくるとは思っていなかったから。






はっきり言ったら、大丈夫じゃない。



心臓が今にも飛び出そうなほど緊張していた。






「……緊張しないの?」






そんなことを言ったらかっこわるいから、質問で返した。





すると、あいつは言った。





『練習したことをそのままするだけだから。人が見てるだけ。

………大丈夫。』





頑張れ、じゃなくて、大丈夫。





練習で頑張った。





だから、“大丈夫”の一言が、嬉しくもあった。






「楓君、用意して。」






先生に呼ばれ、席を立った。







「…ありがと。」






いつのまにか、鼓動はおさまっていた。






演奏も、完璧とまではいかないけど、そんなに緊張せずにできた。





演奏を終え、席に戻る際、次だったからAとすれ違った。





「…よかったよ。」





Aからしたら、まだ下手だったかもしれないけど。




お世辞でも、この言葉は嬉しかった。





「…楽しみにしてるから。」





俺は、ニッと笑った。





「…頑張るよ。」





『プログラム14番、AAさん。』





アナウンスと同時に、舞台へ上がっていった。





そして、一礼し、椅子に座る。






大きく息を吐き、指を鍵盤の上に置いた。






感動した。






本当に、同じ中3なのか。






表現力も、技術もあって、聞き惚れた。






難しい曲なのに、大きなミスもなく、弾き終えた。





戻ってきたら、





「良かったよ。」





それだけ言った。





すると、






「ありがとう。」






それだけ言った。






俺は、この時ようやくわかった気がした。






______Aって、すごい性格いいんだよ。





その通りだと、思った。




















時は過ぎ、3月の卒業式になった。





Aは、また伴奏をしていた。





いつもは何気なく歌っていたが、自然と気持ちが入った。






女子は、ほとんど泣いていた。





Aは、涙を堪え、





「大丈夫だって、永遠の別れじゃないでしょ?」





と、女子たちを宥めていた。





それを聞いて、





こいつも地元の高校なんだな、と。







勝手に思っていた。







けど。














あいつは、地元から出た。






そのことを知ったのは、高校の入学式だった。






…もう少し、話してみたかったな、と。






少し、






後悔した。

◯→←◯



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
50人がお気に入り
設定タグ:恋愛 , 名前変更オリジナル , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミナ @メイン(プロフ) - まぁこさん» そ、そうですか?照れます笑笑 了解しました!私も書きたいと思っていたので、近いうちに書きます! (2018年11月26日 7時) (レス) id: dbbaa59aee (このIDを非表示/違反報告)
まぁこ(プロフ) - こんばんは!衝動書きでここまでって、すごいですね!なんか、感動で泣いちゃいました!笑 よかったら、2人のその後の話?的なのを書いていただきたいです!よろしくお願いします! (2018年11月25日 21時) (レス) id: 0fca2029db (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ミナ | 作成日時:2018年11月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。