溺れる��(マルフィ)※閲覧注意 ページ32
それから1羽の鴉と人魚はあの岩場でよく会うようになった
お互いの世界の事を話したり、贈り物をしたり、歌を歌ったり、時には海面を2人で散策したりもした
そして、どうやら彼には敬愛してやまない美しい女性がいることも聞いた
その事を話す彼は、とても嬉しそうに見えた
ズキンと胸が痛む
それでも笑顔を絶えずにその話に頷いて同調すれば彼は更に嬉しそうに微笑む
その笑顔が好きで好きでたまらない
願わくば、自分のために、自分だけにその笑顔を向けてほしいと思った
「あの方は本当に美しくて素晴らしい方だよ。いつか君にも会わせてあげたいなぁ…」
あぁ、またこの話
人魚がこの鴉に溺れているように、この鴉はその人に溺れている
こんな素敵な笑顔を向けてもらえる女性がずるい
この人に愛される女性がずるい
「この前私が話した、ジョーに頼んでみてはどうかな？彼ならきっと君を陸にさえ行かせてくれるだろう」
そうすれば君も、あの方に会えるよ
いつだって"あの方"中心
それが悲しくて辛くて、とても憎い
「じゃ、私はそろそろ行くよ」
羽を広げる鴉
ひらり、と黒い羽根が1枚舞う
その羽根を見た人魚の瞳に闇が浮んだ
その美しい羽で、あの女性の元に帰るのね
それであなたの美しい笑顔を向けて、手の甲に口付けをして、愛を伝えるのね
そんなの、
瞬間、彼女は思い切り彼の腕を引っ張った
勢いよく水中に連れ込む
彼を見ると、驚きに目を見開いていた
抵抗しようと藻掻く彼だが、いくら男といえども、海で生きる人魚にはかなわない
こぽぽ…と彼の口の端から泡が出る
段々その表情が苦しみに変わる
彼女は下へ、下へ、どんどん潜る
普段なら明るい海の中がなんだか、暗く冷たく感じる
彼の空いている方の手が弱々しく彼女の腕を掴んだ
ふ、と男の方を見れば、緑の瞳が脆く消えかかっていた
「…こんな時でも貴方は美しいのね。あ、名前教えてなかったわね。私はA。貴方は？」
人魚の声は水中でもよく通る
その声は彼にも聞こえたのだろうが、もちろん彼は水中では話すことはできない
そして、すでにその緑の瞳は光を失っていた
「……今の姿もとっても素敵。
…二度と"あの人"の元になんて返さない。
私は貴方に溺れた
…だから貴方も
人魚は満足そうに微笑むと、男の冷たい頬にそっと口付けした
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クレハ(プロフ) - あいむさん» ありがとうございます！あいむ様の文才ならぶち壊れないですよ！← リクエスト受けて下さってありがとうございます！ (2018年1月8日 0時) (
レス) id: 350256b5d7 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - クレハさん» コメントありがとうございます！続編を出せるのも皆様の応援のおかげでございます(＊´ｖ｀) リクエスト承知しました！絶対感動するやつじゃないですか！ぶち壊さないように頑張りますね...(汗) 続編の方に書かせて頂きますので少々お待ちくださいまし*_ _) (2018年1月8日 0時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - えっちゃんさん» コメントありがとうございます！毎日チェックして下さってるんですか？！それは嬉しい…たくさん更新できるよう頑張りますねd('∀'*) リクエスト承知しました！ありがとうございます！続編の方に書かせていただきますね^^* (2018年1月8日 0時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - 愛さん» コメントありがとうございます！わ！ほんとですか？！手下沼の底から浅い方にいる方を引きずり込もうとしてたので嬉しいですね← 皆さんが読んでくださる限り続けるつもりですので、こちらこそよろしくお願いします<(_ _*)> (2018年1月8日 0時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
クレハ(プロフ) - 続編ありがとうございます！ありがとうございます！(( リクエスト失礼します！もう似たものがあったらごめんなさい！主人公が何かの拍子に亡くなって、後に生まれ変わってまた出会う…って感じのが欲しいです！マルフィの話がいいです← (2018年1月7日 23時) (レス) id: 350256b5d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいむ | 作成日時：2017年11月4日 21時
