可愛い子�� ページ15
「ｯ！」
バタンっ！ と派手な音が鳴った。肩がビクッと跳ねる。
先程まで開いていた全ての窓と扉が勢いよく閉じたのだ。次いで、ガチャンｯ……と小気味悪い音。彼が魔法で鍵をかけたのだと分かった。窓はカーテンまで閉められて、月に照らされていた部屋は一気に暗くなる。残るのは、マルフィの魔法の微かな光だけ。
その暗さの中、マルフィの冷たさが浮き彫りになっていた。Aは、息をすることも忘れていた。彼から目が離せなくなっていたのだ。彼も、ジ……と温度のない目で暫くAを見詰めて……永遠にも思える時間が過ぎた時……、ふ、と優しく微笑んだ。宝石が夢に見る美しい笑み。それは、いつもの彼だった。その表情のまま、彼はゆっくりとAの頬を撫でる。手は先程の温度が嘘かのように温かかった。
「君が望むものはなんだってあげようなぁ。」
何も言えなくなるAに対してマルフィは、なんの脈絡もなく歌うように言った。固まる彼女の髪を優しく宝物のように梳きながら。
「よかったなぁ。この私にこんなにも愛されて。」
「私以上に好い人なんていないだろう？」
「だから……ねぇ、A。」
ずーっとここにおいでね。
全ての優しさがブチンと無くなり、緑色の瞳がギラと狂気的に光った。白い肌が、緑の中の細い瞳孔を強調させて、それがどうにも恐ろしかった。正しく、"人ならざるもの"を見た気分だった。彼は元より人間ではないが、しかし彼といてこんな気持ちになったことは今までに一度とて無かった。彼はいつだって、ほわほわと柔い笑みを浮かべて、いっとう優しかったのだ。
Aは初めての言いようのない恐怖にもうどうしようもなくなって……そして本能的に、ガタガタとベッドから逃げ出した。といっても、恐怖を前に足に力なんて入らない。四つん這いで這うのがやっとだった。
目の前から必死に逃げようとするAに、マルフィは、産まれたばかりの何も出来ない子ウサギを見たときみたいに、キュッと目を細めて笑った。とびきり優しくて、とびきり加虐的な目。必死に逃げようとするけれど、上手く体が動かせないAが、死ぬほど可愛らしかったのだ。
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あいむ(プロフ) - ちゃむPOPさん» コメントありがとうございます！ようこそ手下沼へ！！そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございますm(*_ _)mノロノロ更新ですがお付き合いいただけると嬉しいですです！ (9月22日 17時) (
レス) id: 703a955963 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむPOP(プロフ) - 最近手下沼にハマった者です。1作目から数日で一気読みさせて頂きました。世界観がとっても好きです。応援してます！！ (9月20日 23時) (レス) id: 75c22fdb63 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - ちゃろさん» ギャグ多めになってしまいました。笑 ご希望に添えていましたら嬉しいです。リクエスト頂きありがとうございました！ (8月1日 0時) (レス) id: 703a955963 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃろ(プロフ) - あいむさん» リクエストさせて頂いたものを書いて頂き、ありがとうございます✨しかもあんなにたくさん❗呆れている他のメンバーの表情が凄く浮かんできました(笑) (7月31日 1時) (レス) @page37 id: 4d5a25e049 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - ちゃろさん» わがままだなんてとんでもないです！リクエスト嬉しいです♡かしこまりました！更新まで少々お待ちくださいませ( . .)" (7月25日 16時) (レス) id: 703a955963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいむ | 作成日時：2023年3月31日 23時
