34日目 ページ36
「えー!お前らって付き合ってねぇの?!」
驚愕。その言葉に尽きる。エースのバカでかい声は2個先の教室にも届いただろう。声がデカくて有名なセベク・ジグボルトにも勝る勢いだったかもしれない。
「うん、幼馴染って言ったじゃん」
「はーーまじかよ。あの距離感で?」
「小さい頃からの付き合いだし、」
移動教室中や放課後、よくフロイドに遭遇するが、彼は殆どの場合Aを挨拶と言わんばかりにギュウと抱き締める。その様子はどこからどう見ても恋人そのものだった。信じられねぇわーとブツクサ呟いた。
フロイド・リーチ2年生とA・シーネトル1年生は付き合っていない。その噂は思いの外、あっという間に学園中に広がった。すると。
「付き合ってくれないか」
「…えと、ごめんなさい」
Aは告白されるようになったのだ。当たり前といえば、当たり前。NRCは男子校。大部分の生徒は恋愛とは無縁な生活を送っていく事になる。そこに飛び込んできた紅い花。所属寮はオクタヴィネル、しかもリーチ兄弟の幼馴染となれば警戒もされるだろうが、話してみれば至って普通。ぽわぽわとした女子特有の雰囲気で、声をかけられれば割と分け隔てなく話すAに絆された人は意外と少なくない。
移動中に落とした教材を拾ってくれた、実習の時助けてくれた、とかそんな理由で恋に落ちたなんていう人もいる。恋愛に程遠い生活を送っている年頃の男達はそういうことに対しての免疫が無かったりするものだ。
そして、今のところAからOKを貰った者は誰もいなかった。それを聞いたフロイドは、最初こそ告白されているAとその相手に苛立ちを覚えていたが、彼女が断り続けているという現状に、最近では優越感を覚えるようになっていた。
「オレがいーってことじゃんねぇ」
「…貴方たち別に付き合ってないんでしょう?」
「だってちっせー頃から一緒だし」
開店前のラウンジで、カラカラと上機嫌でドリンクの入ったグラスを回すフロイド。その横で期末試験に向けて大量に結んだ契約書を確認するアズール。そこにジェイドがドリンクを持ってアズールの隣に座った。1つはアズールに、1つは自分の手元に置く。
「ジェイドもそー思わね?」
「ま、小さい頃から一緒なのはそうですね」
「そーゆー事だから別に付き合わなくたって変わんねーの」
「はいはい、そうですか」
アズールは、上機嫌に笑うフロイドに少し黙れとでも言うようにグラスにアイスを盛った。
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あいむ(プロフ) - ラムさん» コメントありがとうございます〜!!ご期待に応えられるように頑張りますm(_ _)m (2020年5月16日 23時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年5月13日 21時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 面白い (2020年5月13日 16時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - なづななさん» コメントありがとうございます!!にやけられるものになっていて安心しました(?)ラギーとトレイ先輩いいですよね。。ラギーは可愛いし、トレイ先輩はあの優しげな感じなのにしっかりヴィランって所が最高です...。ありがとうございます!頑張ります!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
なづなな - とっても面白いです!フロイドが大好きなので、にやけながら読ませて頂いてます。あとはラギー君とトレイ先輩も好きです!体調などに気を付けてこれからも頑張って下さい!応援していますっ! (2020年4月26日 0時) (レス) id: c89830493e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいむ | 作成日時:2020年3月23日 0時