黄金帝に愛されたディーラー

大切の意味 ページ20

数日…数週間が過ぎた

テゾーロとは、一切口をきいてないA


「…(前なら、毎日のように話してたのに…)」


客「おいおい！美人なディーラーさん！トランプ配り間違えてるぞ！しっかりしてくれよ〜？」

「！も、申し訳ありませんっ」



バカラ「最近ミスが多いわね、どうしたのしら？」

ミスが目立つことを気にしたバカラが休憩中に話しかけてきた

「ちょっとね…」

下を向くAにバカラは少し考える素振りを見せて、


バカラ「…テゾーロ様と何かあったのね」

と、言った

「な、なんで分かるのっ？！」

バッと顔をあげるAにバカラはクスクス笑う

バカラ「見てれば分かるわよ」

わかりやすい子ね、と笑われる

「…うぅ…」


バカラ「何があったは知らないけど、あなたはもう少し自分に自信を持った方がいいわ。せっかく綺麗なんだから…もっと、胸をはって、堂々としてなさい」


「でも、私、昔は…」


バカラ「だから何？昔の事なんでしょう？何も気にすることないじゃない

それに、あなたがどんな過去を辿っていようが、今、あなたは、ギルド・テゾーロ様の仲間なのよ？

何も我慢することなんてないし、萎縮する必要も無い。そうでしょ？」


「ｯｯｯ！」


バカラ「あなたは、特別な子よ、A。テゾーロ様と私たちの大切な仲間であり、かけがえのない家族。
あなたは、テゾーロ様に選ばれたの
だから、誇りを持って胸を張りなさい」



"あの場所"で毎日のように聞いた言葉


あの時は、意味を知ったら絶望に変わった


でも今は違う


『本当の意味で』バカラは大切だと言ってくれた


この言葉が、これほど希望になるなんて知らなかった



「バカラｧｧｯ！！」

ギューっとバカラに抱きつく

「ありがとう、バカラ…っ」


バカラ「どういたしまして、

ほらほら、泣かないの」


優しく頭を撫でてくれるバカラは、知らぬ母を感じさせるような温もりであった

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