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いつかの夢を見た



手と足には鎖

檻から見える外の世界は輝いていた


次々と連れていかれるここで出会った人たち

もう二度と会うことはないと、皆が連れていかれる度に涙を流した

いつか自分も連れていかれ、連れていかれた先で酷い目に合うのだろうと、そう思った


けれど、私はなかなか連れていかれなかった

何度も檻の中の人が変わっていった




どうやら、私は、『高い』らしい


この目と髪のせいで、私はこの檻から出る必要はないという


店の人には、私は気に入られていたようで、私を連れていく人がいつまでたってもいなくても、『値段』は下げなかった



「お前は大切だからな」


毎日そう言われた

最初は嬉しかった


けれど、その意味が『普通』とは違うのに気づくのはそう遅くなかった



連れていかれれば、金になる

連れていかれなくても、見世物にはなる


私は、ただの商売道具に過ぎなかった




けれど、初めての春、私はついに連れていかれた

聞いたこともないような金額を払うその人の手で、鎖を外された

軽くなった手足の感覚

ずっと中から見ていた景色が目の前に広がった



でも、その瞬間、私の弱い覚悟は簡単に崩れた


望んでもない涙が溢れた

早く泣き止まないと、言い聞かせるが、涙は止まることをしらない


私の手を引く人は、立ち止まって私を見た


恐怖でいっぱいになる

震えが止まらない



私の手を持っている逆の手が、動いた



ギュッと目を瞑った


もうすぐで来るであろう、痛みという衝撃に身を構えた



「…え…?」


いつまでたっても、その衝撃は来なかった

変わりに来たのは、頭を撫でられる感触


「怖がることは無いよ。私は君に酷いことはしない。安心しなさい」


驚いて顔を上げると、優しく微笑むその人


「っ、あ…」

安心からか、1度引っ込んだ涙がまた溢れてきた


「君は泣き虫だね…(笑)

名前はなんていう?」


「名前…覚えてないです…」


「そうか…じゃあ、君は今からAだ」


「A…?」


「ああ。…名前を覚えてないのなら、誕生日も分からないのだろう?

そうだな…君の誕生日は今日だ」


「たん、じょうび…」


「フフ、誕生日おめでとう、A

さぁ、何が欲しい?なんでも叶えてあげよう


…っと、私の名前を言ってなかったね。









私は、ギルド・テゾーロだ。」










これが、私とテゾーロ様との出会いだった

このままで→←伝えたくない想いと届かない想い



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(プロフ) - 続きを見たいです (2020年12月20日 20時) (レス) id: d2cca775a6 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - みぃ さん» コメントありがとうございます!長らく更新を止めていましたが、この先のお話の方向がまとまりましたのでまた始めさせていただきました(´˘`*)更新速度は早くないと思いますが、よければご覧くださいねm(_ _)m (2018年2月5日 2時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 最近になって読み始めました!とても面白いです♪もう更新はされないのでしょうか? (2018年1月28日 21時) (レス) id: 6977329235 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - ゆまかさん» コメントありがとうございます!ご期待に応えられるように頑張ります!! (2017年2月3日 21時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆまか - とても面白いです!続きが楽しみです(*^^*) (2017年1月29日 22時) (レス) id: d9c7a9b9ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あいむ | 作成日時:2017年1月27日 22時

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