カウントダウン【夏油傑】 (ページ1)

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星漿体の護衛任務から1年後。
無下限呪術をほぼ完璧に習得した悟は、文字通り"最強"になった。

「傑、ちょっと痩せた？大丈夫か？」

「……ただの夏バテさ。大丈夫。」

「ソーメン食い過ぎた？」

……こんなアホな発言をしている悟は任務も全て1人でこなし、必然的に私も1人で任務に出向くことが増えた。
以前は肩を並べて共に戦っていた親友が先に行ってしまい、焦り、寂しさが芽生える。
……それだけでは無い。

もっと遥かに大きな感情＿＿＿いや、疑問が、私の中で芽生えた。

･

その夏は特に忙しく、昨年頻発した災害の影響もあり、蛆のように呪霊が湧いた。

今日は珍しく、後輩の七海とAとの任務。
このところ、体調が優れない。
今日もだ。
だが、体調が悪くとも上手く立ち回れる、そう過信していた。

……油断した。

目の前には、1級呪霊。
なんて事ない相手の筈だが、咄嗟の判断も出来ず、1級呪霊を目の前に立ち尽くす。
かつて悟と共に最強と呼ばれていた私は、こんなに呆気なく、しかも後輩の目の前で死ぬのか。

呪霊はこちらに向かって術式を発動しようといている。
もう駄目だ＿＿＿そう思ったが、呪霊は七海によって祓われた。

「……すまない。情けない所を見せてしまったね。」

行ける。
そう過信してしまった所為で、あらぬ事か後輩にカバーさせてしまい、私の横にいたAも危険に晒した。
情けなさから、思わず溜め息が溢れる。

高専へ戻ろう、そう告げた私は2人の頭をポンと撫でた後、一足先に車へ乗り込む。

『……ねぇななみん。』

「その呼び方辞めてください。」

『傑先輩落ち込んでる……。』

「そう、ですね……。」