蛇と、狐と ページ19
するとその狐はベッドから降りて少し離れると、光沢のある毛並みは茶色がかったローブに、黒いストレートの短髪に、白い肌に、変わる。
Aは少々驚いたが、入学前に本で読んでいた事を思い出した。
｢君…アニメーガス？｣
後ろ向きだった少年はこちらに振り返り、Aが座っていたベッドの横に座った。
白い肌、黒い髪、ルビーの瞳。こんな人がホグワーツにいた気がしない。
しかもネクタイを見れば、グリフィンドールではないか。
｢……そう、俺、アニメーガス。君知ってる。スリザリン嬢でしょ｣
少し口角を上げた少年。その声は声変わりの初めくらいの、柔らかい声だ。男子にはあまり使わないが、 "鶯舌" というのがふさわしいだろうか。
｢グリフィンドールだよね？私見たことないよ｣
｢1年生だけど。…見たことないの？｣
｢…うん。ホントに。あなた授業来てる？｣
｢来てない｣
｢それじゃあ分からないよ｣
彼によれば、｢昼に寝て夜起きてるから授業に出られない｣だそうだ。そりゃ分からなくて当たり前である。
｢じゃあ、同じ部屋の子も知らない？｣
｢多分｣
卒業出来ないよ、と言えば、じゃあ逃げると言われた。アニメーガスって便利なものだ。
｢俺、ディオン･アローペークス。…よろしく。A｣
｢ディオンね。アローペークスって不思議な名前。初めて聞いた｣
いずれ分かる、と言葉を濁されたが、一体何が分かるというのだろう？今はその疑問は胸にしまっておくことにした。
｢お昼はどこで寝てるの？｣
｢大体中庭。あと談話室、屋根の上｣
｢屋根の上…はちょっと無理だけど、朝引っ張って授業に連れていくよ｣
｢え｣
｢いいでしょ｣
｢良くない｣
｢尻尾引きちぎってでも連れてく｣
｢俺蛇なら余裕で食える｣
｢別に私蛇にはならないから｣
結局Aが打ち負かせて、明日からディオンは授業に出させられる羽目になる。
流石に寝ないとまずいということで寮に帰っていった。
ここにきて新しく友人が出来るとは思わなかった。しかも、狐だなんて。
蛇と狐の、奇妙な友情が生まれた瞬間であった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 380人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まのじぇに(プロフ) - ベルモットさん» 引き続き読んで頂きありがとうございます！夢主ちゃんにはまだまだ本人も知らない秘密が眠っているので、それが明かされていく過程も楽しみにしていてくださいね♪ (2019年9月6日 18時) (
レス) id: b42c29f2f0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 拝読させて頂いています。ベルモットです。ハリーポッターシリーズは以前から好きだったので自然と興味が出ていました。夢主が冷静で獅子寮でも純血なのでスリザリンの目の敵で、凄さがありますね。 (2019年9月6日 12時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ess(プロフ) - アケメネスさん» 圧倒的感謝…！！この物語は99%が妄想でできてるんです、文章力なんてないんです(´；ω；｀)でも嬉しいお言葉ありがとうございます！これからも頑張ります(≧▽≦) (2018年3月15日 13時) (レス) id: fe1d712b38 (このIDを非表示/違反報告)
アケメネス(プロフ) - 好きだ、、、めちゃくちゃ好きです、、、。素敵な物語をありがとうございます。文章力、想像力、全てにおいて尊敬です！！続き楽しみに待ってます。 (2018年3月15日 10時) (レス) id: ba4ae53b18 (このIDを非表示/違反報告)
ess(プロフ) - 名無し37805号さん» そう言っていただけて嬉しいですー！｡ﾟ(ﾟ＾ω＾ﾟ)ﾟ｡更新頑張りますね！(*^^*) (2017年9月19日 6時) (レス) id: 6d83731746 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まのじぇに | 作成日時：2017年8月21日 10時
