第二十五章 奮闘 壱 ページ8
気付いたら＿今度は私が、枕元の椅子に座っていた。
寝台には、太宰少年が眠っていた。
先刻、私は起きられた。�犹爐亮�い�瓩魘瑤蕕辰討盧討咫�起きられた。じゃあ、きっと彼も起きられる筈だ＿だって彼は私より凄い＿魔法使いなんだから。私にはそんな確信があった。だから私は、いつまでもそこで待っていられた。けれど、誰かが私の肩にそっと手を置いた。
「Aちゃん」
聞き慣れた声だったから顔を上げると、そこには森さんが立っていた。ひどく疲れたような顔をしている。
「治君を動かしてあげないと…」
「動かす？動かすって、どこへ？」
恐ろしく冷たい声だった。こんな、悪魔だって震えて逃げ出すような声が自分の喉から出ているなんて到底、信じられない。そんな声だった。恩人である森さんに、こんな声をかけるだなんて！普段の私がその場にいたら咎めていたろう。
「…君が考えているような事はしないよ。病院に連れて行くだけだ」怯む事なく、森さんは答えた。
「その必要があるんですか？彼は寝てるだけなのに」
「あるよ。薬で眠らされているんだから」
「…じゃあ、私も行きます。いいでしょう？」
森さんは多少躊躇った様子を見せたが、やがてゆっくりと頷いた。
空はすっかり暗くなっていた。視界に入った誰もが、私を憐れむか気味悪そうに視線を逸らした。自分が今どんな姿で人の目に映っているのか、想像出来なくなった。
私はまるで太宰少年と縫い付けられたかのように、彼から離れなかった。彼が病室に移されてからは、また彼の枕元に座った。癒者が数人、入って来たような気もしたが私は微動だにしなかった。
「…」
頭が働かない。今なら簡単に殺される事が出来そうだ。でも身体の方は梃を使われてでも動かされない自信があった。
…窓際に寝台が置いてあるから、今が朝なのか昼なのか、すぐに判った。朝焼けの光が差し込んで、室内を照らしている。太宰少年の寝顔を眺めていると＿不思議と、時間の流れが早くなるようだ。私は少なくとも五回は朝日を見た。
その間、食事を一度たりとも摂らなかった。機会が無かったわけじゃない。ロビンがわざわざ病室まで尋ねて来てくれた。食事の入った籠を持って、だ。彼女は私がここを離れるように望んでいたようだった。
『お嬢様、いい加減休まれてはいかがでしょうか…？』
『…ロビン、私は大丈夫だよ。帰って』
『でも、お嬢様＿』『大丈夫だったら』
そんな会話をしたのは覚えている。
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サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» こんな細かい描写にも気づいて頂けるなんて物書き冥利につきます！消せませんよ、でもここでは説明し切れないので後日改めて説明させて頂きますね! (2018年12月13日 20時) (
レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» お久しぶりです。しぇるふぃあ。さん、すごく読んで頂いているようなのでとても嬉しいです、ありがとうございます。 (2018年12月13日 20時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - ところで夢主ちゃんは前世が国語教師なのですよね？だったら41pに出てくる安吾さんの名前は知ってるはず…と違和感を覚えました(・・?) はっもしや伏線？ネタバレに触れるようでしたらこのコメントはそっ消ししてくださいm(_ _)m これからも陰ながら応援してます!! (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - お久しぶりです！しばらく顔を出せなかった間にすごく進んでて一気読み不可避でした…あんまり好きポインツ語るとコメ欄ネタバレになるので控えますが仲直り本当に良かったです(ネタバレ) (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 紫苑さん» 応援ありがとうございます!頑張らせていただきます！ (2018年12月2日 23時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2018年9月20日 12時
