肆 ページ6
「でも…」
私の抱いた疑問に、先生はすぐ答えてくれた。
「鋏の件に関してはちゃんと白状させた。あの馬鹿ァ、お前を怖がらせて暫くの間、学校に来させないのが魂胆だったらしい。そうすりゃ新庄の奴も諦めると思ったんだとよ。家にいる奴にゃ流石に手が出せないだろうってな。ったく、もうちっとやり方があるってのに底抜けな奴だよ、ありゃ」
次々と明かされる中原少年の真実に、私は嵐に打たれたような衝撃を受けていた。
(まったくその通りだよ…中原君、君は＿)
「なあ太宰。お前は手前で思ってるより、他人から�犲蕕蕕譴騰瓩鵑世茵�
私が思った事を先生はちゃんと云ってくれた。そして、続けた。
「そんでもって今、お前は、今までずっと守ってくれてた賢兄を突き放そうとしてる。こりゃ、責任逃れも甚だしいと思わねェか？」
「責任…？」
「�犲蠢阿鮟�けた相手に応える責任�瓩世茵�これじゃお前の兄貴が不憫で仕方ねェ。少なくとも俺ァそう思うがねィ」
私はそこで漸く、井の中の蛙の意味を知った。身をもって知った。
「…」私は俯いた。
何て。何て酷い事をしてしまったんだろう。私はあの少年に何と云ったろう。
＿見殺し。大嫌い。顔も見たくない。
全部、全部。太宰少年が私に云われたら傷付くと知った上で、云った言葉だ。
「わ、私…そんな…酷い」
自分でも何を云っているのか判らなかった。でも自分がしでかした事だけは漸く判った。
先生は苛立ったように云う。「つべこべ云うんじゃねェ。判り切った事だろォ、今すぐ手前の兄貴に…」
突然、先生が押し黙った。そして、虚空を睨んだ。まるでそこに何かあるようだ。否、彼の瞳は何か目の前の事じゃない、どこか違う景色を見ているようだった。
「おいおい、止せ止せ…」誰かを必死で説得するように、先生はぼそぼと云った。そして急に懐中から杖を取り出すと、「イオンゴ、繋げ！」と呪文を唱えた。それからソノーラスを唱える時のように、頸動脈辺りに杖を突き付けた。
「福沢、林、聞こえるか！今すぐ地下の倉庫へ行け！今すぐにだ！近くにいる教師全員使ってでも行かせろ！」
あまりの彼の慌て具合に、私も驚いた程だった。彼の言葉から、いつもの間延びした口調は完全に取り払われていた。首から杖を離した先生に、私は尋ねた。何だかとても嫌な予感がした。
「そこに何があるっていうんです？」
先生は私に視線を移すと同時に、重々しく口を開いた。
「太宰だ＿自 殺しようとしてやがった！」
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サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» こんな細かい描写にも気づいて頂けるなんて物書き冥利につきます！消せませんよ、でもここでは説明し切れないので後日改めて説明させて頂きますね! (2018年12月13日 20時) (
レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» お久しぶりです。しぇるふぃあ。さん、すごく読んで頂いているようなのでとても嬉しいです、ありがとうございます。 (2018年12月13日 20時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - ところで夢主ちゃんは前世が国語教師なのですよね？だったら41pに出てくる安吾さんの名前は知ってるはず…と違和感を覚えました(・・?) はっもしや伏線？ネタバレに触れるようでしたらこのコメントはそっ消ししてくださいm(_ _)m これからも陰ながら応援してます!! (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - お久しぶりです！しばらく顔を出せなかった間にすごく進んでて一気読み不可避でした…あんまり好きポインツ語るとコメ欄ネタバレになるので控えますが仲直り本当に良かったです(ネタバレ) (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 紫苑さん» 応援ありがとうございます!頑張らせていただきます！ (2018年12月2日 23時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2018年9月20日 12時
