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「うわぁ星綺麗ー！」
思い詰めた時によくここに来ては気持ちをリセットする場所だった
マリネットと失恋の話をしたりハリー達と星を眺めたり、思い出も山のようにある
「(シリウスは今頃何を見てるのかな...)」
鞄に手を突っ込んでクッキーを掴むと1枚食べる
交換したお菓子や貰ったお菓子よりも、誰かに会いたいと思うハロウィンなんて初めてだ
いつからこんなに恋焦がれるようになったのだろう
いつからこんなに姿を追いかけるようになったのだろう
「はぁ...美味しいけど物足りない...」
気持ちは満たされても心は満たされない
それが何度も溜め息として出る
暫く空を見上げていた時、不意に響く足音に気付いた
「(寒くなってきたし下に降りてからタイミング見て帰ろ)」
Aはヒールの音が立たないように静かに階段を降りると物陰に隠れた
下から上がってくる足音はAのいる場所を通り過ぎて、最上階へ上がると足が止まった
「ここだと思ったんだが...おかしいな」
その声を聞いて胸がドクンッと大きく脈打った
ずっと聞きたかった声は誰かを探しているらしく、響く足音が行ったり来たりしている
「(シリウスは...誰を探してるの？)」
「近付いては離れて行くような感覚だな。こんなに恋焦がれるとは...」
まるでAに答えるように呟くシリウスにズキズキと痛む
落ち込む間もなく足音は階段を降りてきて、こちらに向かって響いてくる
「(見つかりませんようにッ)」
ギュッと目を閉じて息を潜める
数分が数時間に感じるぐらいだった
シリウスは誰もいないと判断したらしく、その足音は下に向かって行って肩の力が抜けた
「はああぁぁ.......」
それはもう盛大な溜め息
「(シリウスに恋人居たんだ...。いや普通にいるでしょ。なんで今まで居ない定義だったのか不思議だわ。あの見た目だしあの歳だし居てもおかしくないよ...。)」
こんな形で散るなんて思わなかった...
重い足取りで立ち上がって階段を上がろうか見上げるといつの間にか月も出ていて、吸い寄せられる様に階段を上がっていた
見上げれば綺麗な月が輝いていて、まさに天文学を学ぶにはもってこいのような夜空だ
「今何を考えてる？」
「！？」
驚いて後ろを見るとポケットに手を入れてこちらを見つめるシリウスが悪戯っぽく笑っている
「ど、どうしたの？」
「それはこっちのセリフだ。なんで隠れてたんだ？」
近付いてくるシリウスにギクリと肩を揺らす
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作者名：マルル | 作成日時：2021年4月7日 8時
