お姫様じゃいられない ／ rbr ページ6
「―――あ゛あ゛あ゛！！！！ ほんまなんっっで俺がこんな役になっとんねん！！！！！」
放課後の校舎に響き渡る奇声をすぐ近くで聞いた私の耳は軽く限界突破。
「うるさい」と、睨みつけてやれば、小さな体が更に小さく縮んだ。ざまあ。
「…というか今更じゃん。役決まったの一週間前だよ」
「最初は渋々やっとったわ俺も。でも、やっぱ納得出来へん。なんで男の俺が姫役で、お前が王子役なんや」
「役決めの時風邪で休んだあんたが悪い」
んな横暴や、訴えてやる！！と、更に雄叫びを上げたロボロを放って私は台本へ目線を落とす。今さっきうるさいって言ったばっかりでしょ。学ばないなコイツ。
「なんで俺が女役やらんとあかんの！」
「そりゃあ」
椅子に座り偉そうに足を組むロボロを頭から爪先まで見つめる。
「な、なんや」
「まず、背小さい」
「う゛っ」
「肌は色白」
「…」
「声も女ぽい。以上理由は三つかと」
「んなわけあるかい！！」
がたん、と椅子から立ち上がるロボロ。その拍子に彼の膝上にあった台本が床へと滑り落ちた。
うるさいと何度目発したかわからない台詞を突き付けながら、表紙に眠りの森の美女と書かれたそれを拾い上げる。
立ち上がったままのロボロは見るからにご立腹の様だが、そうやって腕を組んで頬を膨らませる姿が可愛いという事にいつ気が付くのやら。いや、可愛いよりもあざといの方が正しい気がする。
「つか、お前は不満とか無いんか？女なのに男役とか」
一転、話題の焦点はロボロから私へ。そこまでしてコイツは同意を得たいのか。やや呆れながら、すんなりとこの役を受け止めている自分に関して改めて考えてみる。不満があるというか、
「いやー、私こそ王子様ぽいでしょ？」
「あ？」
「髪はショートだし、背も高いし。あんたと私の役が真逆だったら、そっちこそ違和感ありまくりだよ」
男が居ながら女の私が何故抜擢されたのかは不明だが、王子役に不満は無い。そもそも、こんな私にお姫様なんて似つかわしくないだろう。
「如何にもお姫様って柄じゃないでしょう？」
ちくり、ちくり。自分の声が自分の心に棘を刺すような。
「例えば、ロボロの好きな、ふわふわしてて可愛い子がなるべきなんだよ」
そう、だから。
私じゃ、お姫様になれないんだよ。
君に見合う、女の子にはなれないんだよ。
自分で自分に、警告する。あんたがコイツを好きになったって無理なんだよ、と。
ああ、辛いなぁ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
