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「好きやから以外に理由ないやろ」
「え」
聞こえるはずのない声がする。フローリングに下げていた視線を上げると、今さっきまで見えなかった黄色が顔を覗かせていた。
少しだけ赤みの引いた顔、瞳は何処かぼんやりとしている。でもさっきの声は、酔っ払いとは思えない程はっきりとした発音をしていた。私は返す言葉さえ思い浮かばないまま、改めてさっきのシャオちゃんの発言を噛み砕いて理解したのちに顔が熱くなるのを感じた。
「Aが泣いてるよーな気がしたんや。ほんまに泣いとるんやったら、揶揄ったろ思って」
「…泣いてなくて悪かったね」
やっぱりシャオちゃんは性格が悪い。ふいと顔を背けたら、含み笑いと「ほんま、泣いとらんで良かった」と穏やかな声が聞こえてきた。
…あれ。シャオちゃんはこんな、話し方をする人だった？
気になって顔を戻した後で、私はその行動を酷く後悔した。
だって。シャオちゃん、その蕩けた顔は、好きな人に向けるようなものじゃない。
「幼馴染のよしみで教えたるわ」
「…何を」
「どうして俺がAん所に行くんかとか、なんで隣におるんかとか」
どれだけ俺がAが好きなんか、とか。
シャオちゃんの笑みに感じた嫌な予感に体は正直で。腰を浮かして逃げようと準備を始める。シャオちゃんのあの笑い方。口角を上げて双眸を細めながら黄色を光らせるあの顔は、間違いなく私にとっては大変な事しか起きないから。
しかしその準備もシャオちゃんに腕を掴まれたことで意味のないものに早変わり。さらに捕まれた腕を引っ張られて寧ろ縮まった距離に、私の頭はパンク状態だ。
少し動けばキスしてしまうんじゃないかと思ってしまう程の近さでシャオちゃんは笑う。それだけで、心臓がばくばくと耳元で鳴り響く。
「A」
耳元で囁くその声に、否が応でも体が震える。触れているシャオちゃんの手が冷たい、いや私の体が熱いんだ。
傍らにいるシャオちゃんの視線。例えるなら、そうだ。獲物を狙う狼のような、そんな目だと気が付いて顔がまた熱くなって、視界がぼやけた。
瞬きをすれば視界は元通りクリアになって、代わりに頬に何か伝っている。私、泣いてるんだと今頃気づいた。
「かわええなあ」
そういってシャオちゃんの顔が近づき、頬に熱が触れる。キスされたのだとわかってまた視界が水膜で覆われると、意地悪く笑う声がした。
やっぱり。酔っ払ったシャオちゃんは面倒だ。
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
