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月明りが照らす小屋の中、ベットに体を沈めて深く眠る少女を一匹の狼は見上げていた。
あどけない顔、戦いで溢れるこの世とは似つかわしくない程に優しく、温かい少女。
ベットの上に顔を置いて、柔らかなその頬に鼻先を寄せる。それが擽ったいのか頬を緩めて寝返りをひとつ。少女の顔は壁の方に、しかしそれを見つめる青の双眸は暖かく、まるで。
「寝込み、襲う気ですか？」
開かれた窓の外、その近くの木の上の影から放り込まれた声につい、と狼は顔を上げた。
「あほ。んなことせんわ」
「ソーデスカ、それはすみませんでしたー」
「んな一言も思っとらんやろ、お前」
「はいはい」
軽口が飛び交う中でも、向けた視線が背くことはなく一直線に。
一瞬静まり返る空間に、青の瞳に鋭く射抜かれた影は溜息を暗闇に落とした。
「…はよ戻ってきてくださいよ。怪我、もう治ってるんでしょ？」
「関係ないやろ」
「いいや、ありますね。もう、知ってるんじゃないですか、うちとこの国が次戦争するの」
知らん。
「あんたが此処にいる限り、その人は巻き込まれるんですよ」
言うな。
「それに、どの道この場所なら――」
「っ、うるさい言うとるやろ！」
そないなこと、一番俺がよう理解しとるわ。
きん、と空気が張り詰める。月明りに照らされた瞳には、確かな殺意が見え隠れしていた。
影は、再び溜息を溢す。呆れか、それとも高ぶる感情を抑えるつもりか。
「…もう、わかってるんでしょ。潮時だということ」
一匹は黙り込む。
戦争は好きな方だ。あの一瞬の命のやり取りほど、気持ちが昂ることを知らない。しかし、その一方で嫌気が指していたのも事実だった。
その気の緩みで敵地で攻撃を受け、死を覚悟した時だった。柔らかな手に掬い上げられたのは。
それは、陽だまりのようだった。裏のない素直な少女は、荒くれだった気持ちを穏やかにしてくれた。暖かい笑顔に触れるうちにいつしか彼女の傍に居たいと、守りたいとまで思うようになった。
しかし、やはり自分がいる事で彼女の身が危険に晒されるなら、己は。俺は。
「…すまん、A。俺は、」
ベットの上で緩やかに寝息を立てる少女に顔を寄せる白銀の狼に、影は三度目の溜息をつく。
「別に彼女の関わるのがその姿じゃないと駄目じゃないと思いますけど」
「は？」
「それに、うちのボスが言ってるじゃないすか」
欲しいなら、自らの手で手に入れればいい。
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
