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会場に入ると途端に始まった自分の名前を呼ぶコールの大きさに懐かしさを感じる。ここがまるでNYのチームの時かのように。あの時はこれが当然でもあったが、同時にとても嫌なものでもあった。ただ、あの時と今は違う。この音に包まれていても、視線の先には青城の信条である“コートを制す”という横断幕がある。これがあるだけで俺は1人ではないという安心感を持てる。それだけ俺にとって青城というチームは特別な存在だった。俺はずっと“自らの手で点を取って勝利する”ことを信念としている。それだけは変わっていないが、今と昔では意味が違う。俺の中に明確にチームのために、チームの一員として点を取る、という思いが刻まれているから。

さあ、我ら青城の全国の舞台での初陣。共にコートへと歩を進める仲間たちは声に出さずとも皆想いは同じ。及川が毎度言う通り、優勝候補も絶対王者もダークホースも何だって全て喰って俺たちが全国一になるんだ、と。

「なーんかすっかりA一人のチームみたいになっちゃってるけど、青城はここにいる全員がそろっての青城だってことを見せつけちゃおう!……いいね?みんな」

コートに入りサーブ練の準備をしているメンバーたちに及川が声をかける。その目は選手一人一人をしっかり捉え、まるで自分を思いをそれぞれに伝えるかのようにまっすぐに。

「おうっ!ったりめーだ。Aと俺、二人が青城のエースだって見せつけてやんよ。」
「そうそう、みんな揃って青城だからね。ここまで来たらもう何が何でも勝っていこうよ」
「俺たちも全力でついていくからさ。」

岩泉、松川、花巻の言葉にボールを持つ掌に力がこもる。その後も続いた他の皆の想いの言葉に触れる度に俺だけでなく全員の心が燃えていく。エンドラインに立つ及川が、大きく頷き満面の笑みを向けてきて

「___うん。皆で行くよ、勝利の頂きに。」

そういって放たれたボールは高らかに上がるが、そのボールはすぐに及川の掌へと返り、弾き飛ばされた。その弾道と威力を見れば及川の調子が良いことがよくわかる。及川のサーブを皮切りに次々とサーブを打ち始めるメンバーたち。次は自分、という所で、ふと感じた視線に顔を上げる。

「ん?あれって……」

 視線の先にいる同じ顔の2人。その内の片方は俺が良く知っている宮侑こと“アツ”。視線が合ったことに気づいたのか凄い勢いで手を振っていたが、今は隣の奴と小競り合いをしている。


__I want to meet expectation.

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狼派(プロフ) - 続き楽しみにしてますうううううううううう!頑張ってください!神作をありがとうございます! (7月22日 21時) (レス) @page26 id: 7687561dfd (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - あぁぁぁぁ、めっちゃ気になるやん!続き、楽しみに待ってますわ。応援しとります。頑張ってくなはれ! (2022年9月18日 16時) (レス) @page26 id: 257f098b04 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 更新ありがとうございます! (2022年3月27日 21時) (レス) @page24 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです 頑張って下さい (2022年3月10日 13時) (レス) id: 5ca45dddad (このIDを非表示/違反報告)
山さん - ヒェ…………ついに稲荷崎戦来ましたね……ヒィィィィ……銀鏡くんがカッコよすぎる……稲荷崎推しだからスゲェ嬉しい……更新待ってます← (2021年9月24日 2時) (レス) @page23 id: a9954d5378 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:haroki | 作成日時:2020年3月16日 2時

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