261 game ページ22
「何しとんねんっツム!ぬけがけなんて許さへんぞ。……Aくん、今日はよろしくお願いしますっ」
「ぬけがけとか関係あらへんわ。俺とAくんの仲や、お前はひっこんどれ!」
「ハハッおもしれえな、お前ら。まあ、いいや、アツも治もよろしくな。」
兄弟げんかになりつつあった侑たちを後にアップに戻ると、ちょうどスパイクの順番が回ってきたところだった。ドクン、と跳ねる心臓。どうしても俺の体は、心は、この瞬間を待ちわびて焦がれているのだ。早くあの宙で、あのボールに触れたい、といつも求めている。そんな思いを抱きながら、宙をめがけて床を蹴る。
「Aっ!」
呼ばれた名前。及川から挙げられたボール。後方にひいた腕を思い切り振りかぶると、やっと俺の掌にその感触が届く。
ド ゴッ
強い衝撃を得たボールは床にあたり天井近くまで跳ね上がっていった。掌に残る鈍いしびれがたまらなく俺を興奮させる。早く、試合が始まってほしい、と心は逸るばかりだ。
「ヒューッナイスキーA。今日も絶好調だな。」
肩に感じた軽い重みに振り向くと、岩泉が楽しそうな笑みを向けている。
「そりゃそうだろ。優勝候補のチームとの試合なんてめちゃくちゃ興奮するよ。」
「ははっそれでこそ帝王様だな!ま、今日は一緒に暴れようぜ?相棒っ」
岩泉の言葉に「ああ」と返事を返し、こぶしを重ねる。”一緒に”という言葉に胸が熱くなった俺は己の掌にぐっと力を籠める。皆で戦える嬉しさを胸に俺と岩泉は試合前の挨拶をすべく、チームの列へと向かった。
『__さぁ、いよいよ始まります。兵庫県代表稲荷崎高校と宮城県代表青葉城西高校の試合ですが、なんといっても注目すべきは青葉城西にはあの日本が誇るU19大エース銀鏡Aくんですね!』
『いやあ、昨日の陽和学園戦もすごかったですからね、銀鏡くん。一人で1セット決めてましたからね。でも今回は同じくユース候補の宮侑くんとの対戦という点もとても楽しみですね。___あ、始まりそうですね。』
「「よろしくお願いしぁっすっ!!」」
両校の選手らが挨拶のため、頭を下げる。そして顔をあげるとネットの向こうにいる侑と目が合い、自然と口角が上がる。侑の闘気溢れる表情に期待に胸が膨らんだ俺は、左肩を入念に回した。
……久々に、アレを試すか。
日本に来てからは殆どやっていないあのサーブ、侑たちはどう抗ってくれるかな?
__I'm excited about expectations.
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狼派(プロフ) - 続き楽しみにしてますうううううううううう!頑張ってください!神作をありがとうございます! (7月22日 21時) (レス) @page26 id: 7687561dfd (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - あぁぁぁぁ、めっちゃ気になるやん!続き、楽しみに待ってますわ。応援しとります。頑張ってくなはれ! (2022年9月18日 16時) (レス) @page26 id: 257f098b04 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 更新ありがとうございます! (2022年3月27日 21時) (レス) @page24 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
月 - 続きが楽しみです 頑張って下さい (2022年3月10日 13時) (レス) id: 5ca45dddad (このIDを非表示/違反報告)
山さん - ヒェ…………ついに稲荷崎戦来ましたね……ヒィィィィ……銀鏡くんがカッコよすぎる……稲荷崎推しだからスゲェ嬉しい……更新待ってます← (2021年9月24日 2時) (レス) @page23 id: a9954d5378 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haroki | 作成日時:2020年3月16日 2時