253 game ページ14
ゴ ガンッ
「___くっ!」
『ワアアアアアアアアアアッ!!』
ブロック3枚の指先の上から放たれたスパイクは、リベロの腕を弾き飛ばし、コート外へと飛んでいった。会場内に響き渡る観衆の声。捲られた得点板は25を示し、主審の笛の音と共に第一セットが終わった。
はぁ、はぁ、はぁ……
乱れた呼吸。何度も空を目指し、跳び続けることに、重力に反することに、体は熱くなり、興奮していることが分かる。久々に感じる感覚に俺の心が、全身が歓喜している。25点なんてあっという間だった。でも、足りない。まだ、もっと、あの空へ。そしてボールをこの掌で感じたい。そんな欲求に飲まれていく。
「___Aっ!」
自分の名前を呼ぶ声にハッとする。振り返ると目を細めて嬉しそうな笑みを見せる及川と岩泉。二人の顔を見た途端、頭の中がバレーのことで支配されていた状態から、目覚めさせられた。自然に緩む口元。抱きしめられて初めて1セットを青城として勝ち取れた喜びが沸き起こり、次々と駆け寄ってきた他のメンバーたちと共に味わう。
「お前本ッ当にすげえな!!」
「うぉぉぉぉ!A―!!」
「さっすが俺のAっ!もう最っ高!!カッコ良すぎっ!」
賞賛する声に包まれ、自分がこのチームの一員であることを実感する。青城のメンバーたちは俺が点取り屋に徹している時でも、俺を一人にせず、一緒に戦ってくれる。そんな中でバレーが出来る幸せをかみしめながら、俺は皆の背中をぐっと抱きしめ返す。
「お前らが届けてくれたボールだからな!きっちり決めるのがエースの仕事だろ?……って、ことで、次はお前らがイイとこ見せてくれよな?」
ニカッと笑顔を向けると、みんなの目が一瞬大きく見開かれた。そして次の瞬間には同じように笑顔で「任せろっ!」とそれぞれが決意を言葉にする。ふいに岩泉と視線が重なると、俺は左手の拳を岩泉の前へと出す。
「……2セット目、頼んだぞ?相棒。」
「おう!任せろ。っつっても、お前のように25点一人でってのは無理だけどな。」
俺の拳に岩泉の拳が重なる。軽口の裏に潜む岩泉の闘志が感じられ、俺は大きく頷く。お前になら任せられると。
___Role of the ace.
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狼派(プロフ) - 続き楽しみにしてますうううううううううう!頑張ってください!神作をありがとうございます! (7月22日 21時) (レス) @page26 id: 7687561dfd (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - あぁぁぁぁ、めっちゃ気になるやん!続き、楽しみに待ってますわ。応援しとります。頑張ってくなはれ! (2022年9月18日 16時) (レス) @page26 id: 257f098b04 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 更新ありがとうございます! (2022年3月27日 21時) (レス) @page24 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
月 - 続きが楽しみです 頑張って下さい (2022年3月10日 13時) (レス) id: 5ca45dddad (このIDを非表示/違反報告)
山さん - ヒェ…………ついに稲荷崎戦来ましたね……ヒィィィィ……銀鏡くんがカッコよすぎる……稲荷崎推しだからスゲェ嬉しい……更新待ってます← (2021年9月24日 2時) (レス) @page23 id: a9954d5378 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haroki | 作成日時:2020年3月16日 2時