5Fr!『熱くなるFeelings』 8 ページ45
自分と大差のないはずの背中は小さく感じられ、その背中越しに伝わる震えは真琴の感情が溢れているようで、Aは抱き締める腕に力をこめる。
「………真琴………そのままでいいから………聞いていてほしい。」
Aの言葉に小さく頷く真琴。
Aの腕を掴んでいる手がキュ、と握られて。
「___あれは凛が中3の頃で、オーストリアに水泳留学したわりに、思うように結果も出ず、日に日に腐っていってたみたいでさ。そんな時、たまたま俺が競泳の遠征でオーストリアの大会に行くことになって、本当偶然に向こうで会ってね、その時のアイツ、本当に酷くてさ。」
反応のない背中を抱きしめながらゆっくりと言葉を続けるA。
真琴は逃げ出したい気持ちとAの言葉を聞きたい気持ちの中で揺れていたが、結局は逃げ出す勇気もなく、ただただ静かに彼の腕を掴んでいることしかできなくて。
「話している間もどこか上の空で、全てに対して投げやりな様子に心配になって遠征の間はずっと一緒にいたんだ。その中でだんだんと緩んできた凛の心に触れた時、今にも壊れそうなアイツが放っとけなくてさ。………求められるまま、応えて……」
言い淀むA。
真琴は、きっとAは、自分の言葉に真琴が苦しんでいることに気づいているのだろうと感じるが、声を出すことすら出来ない自分を情けなく思っていた。
(夏兄………俺、分かってるよ。夏兄が凛を守りたかったから、触れたことも…………)
「…………俺のこと……嫌になったか?」
耳にかかるAの吐息と普段耳にしない不安そうな声に、真琴の心臓は壊れそうなほど鼓動を速めていく。
「……………夏兄を……嫌いになんてなるわけない。………それに、夏兄が支えてくれたから、今凛が水泳を続けているんだし………わかってる。分かってるんだけど………」
ぎゅうと強く抱き締められる体。
「…………うん。」
真琴の肩に顔を埋めながら次の言葉を待つAの重さを感じていると、自分の中に渦巻く想いが口から勝手に零れていく。
「……………ズルい………俺だって、……夏兄と………………繋がり、たい……………///…………って、な、何言ってんだ?!あはは、……じょ、冗談だよ?」
耳に聴こえてきた自分の声に驚き、ハッとする真琴が急いでAから距離をとると、目の前のAは眼を細め柔らかな笑みを向けていた。
渚「はいはーい☆今回はここまで、だよ☆」→←*秘密の番外編「あの時」*
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haroki(プロフ) - ちぇるさん» コメントありがとうございます!大好きと言っていただけて嬉しい限りです!飛べないのは続編ですか?それとも"秘密"のほうでしょうか?秘密はR指定付きなので設定がR指定無しだと見れないようです(>_<) (2021年12月29日 19時) (レス) @page46 id: 37b3065325 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる - harokiさんの小説面白くて大好きです!(*^^*)URLから小説に飛べなくて、harokiさんのページにもなくて😭どこで見られますか、、? (2021年12月29日 10時) (レス) @page44 id: 4a0d3ce7f7 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜(女) - 見ていてこっちまでもが惚れちゃいました!!! (2015年8月17日 22時) (レス) id: 2bf8696fce (このIDを非表示/違反報告)
haroki(プロフ) - 水魏志(読:みなぎし)さん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも、楽しんでいただけるよう頑張りますp(^^)qお付き合いいたたけると嬉しいです(*^^*) (2015年1月28日 0時) (レス) id: 40730f2243 (このIDを非表示/違反報告)
水魏志(読:みなぎし) - すごく面白いです!!更新、頑張ってくださいね!応援してます!! (2015年1月24日 23時) (レス) id: 5fd0686f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haroki | 作成日時:2014年11月12日 11時