2Fr!『慈しみのdistance』 6 ページ15
「なあ…夏兄…。この後、どうするんだ?………帰るのか?」
不安げな表情でAを見上げる遙は、繋いだ手に力を籠める。
_____そこに自分の想いも添えて。
「いや、明日休みだし、今日はこっち泊まってくよ。」
Aの言葉に遙が勢いよく顔をあげた。
その目は夕陽が当りキラキラと輝いていて、Aは、綺麗だな、と心の中で呟いた。
「だったらっ!………だったら………うちに泊まればいい……。」
「ん?いいのか?そんな突然行っても迷惑じゃ___」
「いや、うちの両親は転勤で、今は俺だけで住んでるんだ。……だからっ……!」
あまりに必死な遙の様子にAはくすりと笑みを溢すと、愛しそうに見つめながら微笑んだ。
「じゃあ、甘えさせてもらうな?……あ、だったら、お前も来いよ。……真琴?」
くいっと繋いだ手を引き寄せると、真琴とAの顔があと数センチというほど近づいた。
突然のことに心臓が壊れそうなほどドキドキする真琴。
その顔は見事に真っ赤に染まり、視線は定まらず泳いでいる。
「お、俺はいいけど………ハルはいいの?」
真琴は探るように遙を見るが、遙はプイと視線を逸らしてしまう。
「今さら、遠慮することもないだろう……勝手にしろ。」
「……………ハルっ…………ありがとう!」
真琴は眉尻を下げ、ふにゃり顔を緩めて笑う。
そんな二人の頭を撫でながら満足げに微笑むA。
「あ、でも、遙ん家行く前に、真琴ん家寄るぞ?顔出す約束してるしな。」
「うんっきっと蘭たちも母さんも喜ぶよ。昨日TVで見たときも大騒ぎだったしね。」
その光景を思いだし、困ったような笑顔を見せる真琴に、Aは驚いたような表情を見せた。
「え?昨日のTVって?………あ、もしかして、世界大会の入賞した時のインタビュー?こっちでは、昨日だったんだな……。いや、何か身内に見られると恥ずいな…。」
「でも………俺もハルも、それに渚だって、ずっとずっと夏兄に会いたかったから…TVの中の夏兄見たときは凄く……嬉しかったんだ…。ね?ハルもそうでしょ?」
「………。」
小さく頷く遙。
Aは一瞬目を見開くがすぐにいつもの柔らかな笑顔をみせると首の後ろを掻きながら、ありがとう、と言った。
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haroki(プロフ) - ちぇるさん» コメントありがとうございます!大好きと言っていただけて嬉しい限りです!飛べないのは続編ですか?それとも"秘密"のほうでしょうか?秘密はR指定付きなので設定がR指定無しだと見れないようです(>_<) (2021年12月29日 19時) (レス) @page46 id: 37b3065325 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる - harokiさんの小説面白くて大好きです!(*^^*)URLから小説に飛べなくて、harokiさんのページにもなくて😭どこで見られますか、、? (2021年12月29日 10時) (レス) @page44 id: 4a0d3ce7f7 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜(女) - 見ていてこっちまでもが惚れちゃいました!!! (2015年8月17日 22時) (レス) id: 2bf8696fce (このIDを非表示/違反報告)
haroki(プロフ) - 水魏志(読:みなぎし)さん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも、楽しんでいただけるよう頑張りますp(^^)qお付き合いいたたけると嬉しいです(*^^*) (2015年1月28日 0時) (レス) id: 40730f2243 (このIDを非表示/違反報告)
水魏志(読:みなぎし) - すごく面白いです!!更新、頑張ってくださいね!応援してます!! (2015年1月24日 23時) (レス) id: 5fd0686f6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haroki | 作成日時:2014年11月12日 11時