八十五 ページ38
夜、剣心はAと屋根の上で月を眺めていた。
剣心「怪我は大丈夫か?」
『うん。だいぶいいよ。』
剣心「良かった。」
今宵は本当に見事な満月だった。まるで吸い込まれそうなくらいに
剣心はちらりとAを見る。
月を真っ直ぐ見つめるその横顔は月光に照らされ、いつもより格段に白く見える。
いつの間にか伸びた腰までの白銀の髪がきらきら輝いている。
まるでかぐや姫のような、繊細なもののように儚く。
今にでも消えてしまいそうなAを剣心は思わずかき抱いた。
『剣心?』
剣心「うん…でも、しばらくこのままで……」
『…うん、わかったよ。』
Aは自分の肩口に預けられている剣心の頭を優しく包んだ。
『…剣心、私やっぱり刀を置くよ。』
剣心「…そうか。」
『真実のこと頼んだよ。』
剣心「ああ、必ず。」
『それと、今までありがとう。』
剣心「…!…何故」
『もう剣客の…緋村抜刀斎の相棒のAはいなくなる。』
Aは静かに剣心を離すと、優しく見つめる。
その美しさに剣心はゾクッとした。
『私のこと、忘れないで。』
そう言うとAは小刀を自分の首元に持ってくる。
剣心「な、何を!?」
Aは小刀を振りかざすと自らの腰まである髪を切った。
彼女の切り離された髪の毛は、まるで白蛇の如くAの体を這って降りて行った。
『驚かせてごめん。似合う?』
Aは肩まで短く切られた髪を撫でつけて言った。
剣心はふわりと微笑んで言った。
剣心「とても、似合うよ。」
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剣心 - ししおにキスされんのはゴメンだなww (2018年4月3日 18時) (レス) id: d86426f788 (このIDを非表示/違反報告)
柚姫 - 本当だ!すみません、ありがとうございます! (2016年5月28日 22時) (レス) id: 3ebe891132 (このIDを非表示/違反報告)
蘭秀(日本史love)(プロフ) - オリフラ立ったままですよ〜!このお話好きなのでこれからも期待してます♪ (2016年5月28日 19時) (レス) id: 9e25d5fa86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚姫 | 作成日時:2016年5月28日 8時