七十七 ページ30
『あー…もう…痛いなぁ…』
結局あの後Aは葵屋に運ばれ、治療を受けた。
動いてはいけないというので腹を包帯でぐるぐる巻きに固定されていた。
剣心「すまん…俺がもっとしっかりしていれば…」
『いいよ。私が勝手にやったことだ。気にしないでくれ。』
Aはいててて…と呟きながら天井を見た。
『…ねえ、剣心。』
剣心「何だ?」
『私、あとどれくらいだろうか。』
剣心「…っは?」
剣心の背筋に冷たいものが通った。
『知ってるの。私に剣術が合ってないことくらい。日に日に刀が扱いづらくなっていく。どんどん体を蝕まれてるって』
剣心「俺も、前から考えていた。…A。もう刀を置け。でなければお前は…」
『やっぱりそう言うのね。でも…嫌だ。』
剣心「A!」
『この戦いが終わるまで…私は、刀を置かない。まあ、折れちゃったけどね。』
剣心「…Aは、何でそんなに強いんだろうな。」
『何で?』
剣心「自分が死ぬのが怖くないのか?」
『…怖いさ。剣心と離れたくないもん。』
Aの大きな瞳から大粒の涙が一筋流れる。
『でも、そうは言ってられない。真実を止められるのは私しかいないんだ。』
剣心がAの涙を掬うようにして口付けた。
剣心「A…俺は……お前を離す気は無いからな。」
Aは大きな瞳をぱちくりさせて、そのあとにっこり微笑んだ。
『…ありがとう。剣心。』
白い頬をほのかに染めて。
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剣心 - ししおにキスされんのはゴメンだなww (2018年4月3日 18時) (レス) id: d86426f788 (このIDを非表示/違反報告)
柚姫 - 本当だ!すみません、ありがとうございます! (2016年5月28日 22時) (レス) id: 3ebe891132 (このIDを非表示/違反報告)
蘭秀(日本史love)(プロフ) - オリフラ立ったままですよ〜!このお話好きなのでこれからも期待してます♪ (2016年5月28日 19時) (レス) id: 9e25d5fa86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚姫 | 作成日時:2016年5月28日 8時