【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ46)

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四十四主side ページ46

『あっついなぁ…もう夏か…』

もう日も暮れるのに、アブラゼミたちが煩いくらいに鳴く。

真っ赤な夕日に染まりながら私達は歩いていた。

『ねえ、剣心。』

剣心「なんでござろう？」

『あとどれくらいで着くの？私もう歩くのやだ。』

剣心「おろ。まだ2日歩いただけでござるよ、あと4日はかかる。」

『ええっ…無理だよ…』

剣心「歳をとるのは怖いな。昔はあんなに簡単に着いたのに。」

『それ私に向かって言ってんの？』

剣心「……いいや。」

『そう、なら良かった。それ私に向かって言ってたら剣心、お墓の下だったよ。あぶなかったね。』

女性に向かって何て事言うのかしら、このオヤジは。

そんな事を考えていると剣心が近くの岩場に荷物を置いた。

木々に囲まれていて、足場は砂利。下にはちろちろと小川も流れている。

剣心「よし、今日はここらで野宿だ。」

『え？宿無いの？』

剣心「無い。」

『町は？』

剣心「ここは山奥だ。町なんて近くにあるわけ無い。」

『…まだ明るいよ？』

剣心「バカ言え、すぐ日が暮れる。食料を調達しなくては。」

くっ…駄目だった…

剣心「足掻いても無駄だ。A。」

『ちぇっ…じゃあ私何すればいい？』

剣心「焚き火用の木と湧き水を持ってきてくれ。」

ああ、昔と同じ分担だ。なんか懐かしい。

『了解～』