【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ40)

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三十八剣心side ページ40

薫「剣心っ！おかえりなさい！」

だから会いたくなかった。

こんな純粋無垢な瞳に見つめられると、凄く京都に行きづらくなる。

人との別れは苦手だ。

剣心「大久保卿の話は知ってるでござろう。犯人は志々雄一派でござる。このまま志々雄を放っておくわけにはいかない、拙者は京都へ行くでござるよ。」

薫「っ…」

薫殿の肩が大きく揺れる

薫「…Aさんは…？一緒に行くの…？」

剣心「ああ。」

薫「私は…剣心に…ここにいてほしい…」

剣心「それは出来ないでござる。」

薫「それじゃあ、私も一緒に…」

剣心「ダメだ。薫殿はここで、平和に暮らしていてほしいでござる。」

薫「なんで…なんでAさんは…あんなに幸せなの…強くて、美人で、優しくて…剣心にも好かれて…どうして私とはこんなに違うの…？」

剣心「薫殿…」

薫「っ…」

薫殿のつぶらな瞳から大きな雫が零れ落ちる

剣心「薫殿、Aは決して幸せではないでござる。Aだって辛い過去があって今を必死で生き抜いている。幸せ者は薫殿の方でござるよ。」

薫殿の頭に手を乗せる。

剣心「今までありがとう。そしてさよなら。拙者は流浪人。…今度はAと共に流れるでござる」

薫「っ…けん…しんっ…！」

薫殿の声が響く中、俺はAの元へ向かった。