【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ39)

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三十七主side ページ39

辺りはすっかり暗くなり、行き交う人々もかなり少なくなっていた。

ガス灯の光が眩しい。

剣心「…やはり、このまま行かないか？」

『何言ってんの剣客さん。ダメ、ちゃんと言って行かないと。』

こいつは薫さんにお別れを言うのに抵抗があるらしい。

剣心「しかし…」

『タダ飯喰らいの上に居候させてもらってお世話になったんだし…ね？』

剣心「うっ…」

言葉に詰まる剣心。顔色が一気に悪くなった。

そういえば恩返しもしてないな、この親父は。

『それともここに残ってみんなと一緒に暮らす？』

剣心「それは遠慮したいでござる。」

即答かい。

『じゃあ行ってきて。』

剣心「…わかった。ちょっと待っててくれ。」

よっしゃ、やっと折れた。

『わかった。待ってる。』

ニコッと笑いかけるときつく抱きしめられた。

イテェ…

『んもう…どうしたのさ？』

剣心「可愛かったから。なんとなく」

『…逝ってらっしゃい。』

剣心「…イッテキマス」

やっと行った…

『ふう…』

あんなに意地張っては見たけど、本当は薫さんと剣心を会わせたくなかった。

剣心はお人好しだから、薫さんに泣きつかれてここに留まってしまうんじゃないかって。

…九割五分無いけど。

？「おい、阿呆」

『…うわっ…びっくりした。……なに、斎藤』

最悪。

斎藤「お前らが遅いんだよ。…ん？抜刀斎は？」

『薫さんに会いに行った』

斎藤「ほう…お前ら両思いではなかったのか。」

『うるせえ愛妻家。お前なんて剥げればいいのに。』

斎藤「ふんっ…しかし、抜刀斎も強欲だな。お前みたいな良い女を惚れさせておいて神谷のたぬき娘まで引っ掛けるとは。」

『…マジで剥げてくれ』

斎藤「阿呆。」