【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ4)

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三剣心side ページ4

やっとAに追いついた時、俺の目に見えたのは…

男と話しているAだった。

それを見た時、俺の中の大きくどす黒い何かが俺を支配しようとしていた。

その男が敵だということはすぐに分かったが、どうしても我慢ならなかった。

それを何とか押しとどめると今し方来たような様子でAに話しかけた。

どうやら気づかれなかったようだ。

Aは美人だ。

一度見れば二度と忘れない、長い睫毛で縁取られた大きくも優しい印象の目。決して高すぎない小ぶりな鼻。
雪のように白い肌と髪。

見るものすべてを魅了する彼女は自身の魅力に気づかない。

そんなもどかしさを感じていると、Aが話しかけてきた。どうやら恐い顔をしていたらしい。

『あの、剣心サーン？』

剣心「なんだ？」

『怒ってますか？』

剣心「ああ、とても。」

『ごめんね！次からはちゃんと剣心のこと考えて動くから！』

…違う。
そういうことじゃないんだ…。

剣心「俺が怒ってるのはそういうことじゃなくて、お前が男と対峙してたことだ。いくらお前が強いとはいえ、相手は男だ。力では負けるんだぞ。」

『へ？』

剣心「だから…」

もどかしい。

剣心「俺はお前のことが大事なんだ。何よりも。」

『っ！？』

少しの恐怖を含んだ表情さえ愛おしい。

俺はきっと狂ってしまったんだ。