【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ25)

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二十三薫side ページ25

なんで、出稽古にまでAさんを連れて行かないといけないのかしら。

剣心ったらすぐA、Aって。

でもお手本試合は貰ったと思った。

いくら幕末の志士とはいえ、女の人。

これなら、Aさんから唯一勝てる。

剣心も見てるし、ひょっとして心変わりしてくれるかもしれない。

そんな期待も一時の夢だった。

冷静に考えればすぐわかった。

Aさんは、剣心が唯一背中を託した相棒なのだ。弱いわけない。

彼女の一太刀は、彼女の華奢でか弱い体からは想像できぬほど凄い威力があった。

そして何より美しかった。

いつ何時見ても、醜い姿なんて見たことない。

本当に勝てない。

もう望みなんて無くなっちゃった。

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家に帰ってからも無自覚なAさんは容赦ない。

左之助の手当ては恵さんがしてくれて、その間Aさんと剣心はずっと二人きりで道場にいた。

Aさんはいいな。何でも手に入る。

可愛らしい顔立ち、明るく優しい性格、女の子らしい華奢な体、人々の目線、お金、好きな物。そして剣心。

私の欲しいもの全て奪っていく。

私はずっとこのまま虚しい思いをしながら生きていかないといけないのかしら。