【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ18)

今日:16 hit、昨日:19 hit、合計:205,303 hit

十六主side ページ18

“そっかあ…薫さん、剣心が好きなんだね。

あんなわかりやすい人初めて見たよ。

でも、剣心はどう思ってるんだろう？

実は心変わりしてましたーみたいな事もあり得る。

それはそれでいいさ。もともとほったらかしてた私の自業自得だし。”

そんな風に思えたらどれだけ楽だろうか。
本当は胸が苦しくてたまらない。
やっと会えた彼が、とても遠く感じる。

たった十一年で剣心はここまで変わってしまった。

あんなに無愛想で、でも私には優しくしてくれる剣心が。
今はみんなからの人気者で、愛想を振りまいている。

鋭かった彼の目つきは穏やかなものにかわった。

これも世の中が平和になってくれたからなんだ。
でも…

少し寂しい。

トントン…

『はい？』

剣心「入るぞ。」

噂をすれば何とやらってやつか。

私は意外と落ち着いている…

『ああ、剣心。どうした…の？』

…筈だったんだけど、違ったみたいだ。

剣心が私を強く抱き締める。

剣心「お前が…生きてて本当に良かった…」

『何さ、本当に死んだと思ってたの？』

剣心「当たり前だろ」

『酷くない？』

剣心「なあ、お前の約束。覚えてるか？」

『ん？なあに？それ。』

嘘だ。ちゃんと鮮明に覚えてる。

剣心が私を離して目を見る。

剣心「恋仲になろうって約束。」

『…の？』

剣心「え？」

『本当に私でいいの？薫さんは？』

剣心「何言ってんだ。俺にはAしかいない。」

あーっ…もうダメだ…

『っ…』

これもう、泣いていいよね。

剣心「なっ…！？A！？そんなに嫌か！？」

『っ…嫌な訳ないじゃん…嬉しくて泣いてるのっ…』

剣心「…そうか。」

剣心はまた私を強く抱き締めてくれた。

そのまま剣心は、私が泣き止むまで抱き締めていてくれた。

凄くあったかくて、安心した。