【るろうに剣心】ある優しい人斬りのお話。 (ページ14)

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十二剣心side ページ14

弥彦「いやあ、食った食った！」

左之助「へへっ、悪りぃな嬢ちゃん。俺まで馳走になって。」

薫「ああ…また生活費が…」

道場から赤べこに行く途中、左之助と合流して四人一緒に昼餉を食べたのだ。

左之助「っ！！おい！剣心！」

左之助が急に切羽詰まった声を上げた。

剣心「左之、どうした！？」

左之助「あの木の上の嬢ちゃんすげえ別嬪じゃねーか！？」

剣心「なんだ…そんなことでござるか。てっきり悪さをしている輩がいるのかと。」

左之助「見てみろって！絶対別嬪だぜ！」

はあ…左之の子供らしい目が眩しい。

仕方なくそちらを見ると。

剣心「っ！！！！！」

そこには。

美しい白銀の髪をもち、華奢な体を大きな大木の枝に預けた女が眠っていた。

剣心「…っA！！」

「「「え？」」」

『ん？何か呼ばれた？はぁーい、Aで…す…っ！剣心っ！？』

その女…Aは大きな目を更に大きくしてこちらを見ている。

剣心「A！生きてたのか！お前今まで何処にっ！？」

肩の力がふっと抜けていった。Aが生きていた。

あの愛しいAが！

『私がそんな簡単に死ぬわけないだろ。剣心。…でも心配かけてごめん。』

そういうとAは木から降りて女神のように微笑み、俺の頬に接吻する。

そして何事もなかったかのように振り返り、真っ赤になっている三人に話しかけた。

『君たちが剣心の面倒見てくれたんだね、ありがとう。剣心、迷惑かけてなかった？』

三人は揃えて首を縦に振った。

剣心「A、俺はそんな子供じゃないぞ。」

『何言ってんの、あんたみたいな無愛想な男はいるだけで迷惑になりかねないのよ。』

「「「無愛想？」」」

『え？違うの？』

剣心「俺はもう昔のように若くない。世の中のことはだいぶわかっているつもりだ。」

『そんなっ…そんなの…』

剣心「ん？A？」

『そんなの剣心じゃなぁぁぁぁぁぁぁい！！』

剣心「うるさいぞ。」