実験7回目 ページ7
あの日は俺達の結婚記念日だった。
いつもは遅く帰ってくるが、今日は早いほうだ。急かす気分で車を飛ばす。家が見えた。いつもの定位置の場に車を停め、玄関に入る。既に鍵の開いていた玄関には妻の靴が丁寧に揃えてあった。妻がこの時間帯に帰ってくるなんて珍しい。きっと俺と同じで妻にとっても今日という日が格別なものであるからこそだからだろう。
「ただいま」
高揚した気持ちを抑えつつ言った。しかし返事は無い。
「アンネ？居るんだろ？」
リビングのドアを開けた。そこには腹部から血を流し横たわる妻がいた。
「アンネ!!」
揺さぶっても、声をかけても返事は無い。胸に耳を当てても鼓動は聴こえない。傷からするに何者かによって鋭利なもので腹部を刺され、大量出血が原因で死亡したのだろう。死んだ…？信じられない、いや信じたくない、そんな、そんな___________
「ぁ、」
掠れた声が漏れる。一瞬誰の声か分からなかった。
「ぁ、あぁあ、ああああ」
確かな自分の声だった。娘が帰ってきたことにも気づかないほどに絶叫した。
もう、妻は、アンネはこの世にいない。そう思うと虚しさで胸が苦しくなった。妻の首筋を噛み血を吸った。そうすれば少しでも自分の中に居座ってくれる気がした。
「カンナ」
はっと声の主の方へ顔を上げた。アンネは自分の名前をよく呼ぶ。きっとこれは彼女の質の悪いいたずらだ、そうに違いないと微かな希望をだいて______
メリヤスがこちらをひたと見据えていた。目には涙が滲んでいた。妻は死んだのだな、と静かに、ゆっくりと、けれど確実に絶望まで落された。
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りな(プロフ) - 書き人知らずさん» ありがとうございます！そう言われると励みになります！これからも更新頑張ります！ (2018年5月19日 22時) (
レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - pixivsketchから飛んできました！拙い文なんかじゃないですよ。すごく面白いです。こちらでもpixivsketchでも絵や小説が更新されるのを楽しみにしていますね。 (2018年5月19日 22時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - イメージソングは「不完全な処遇」でお送りします。(黙れ) (2018年5月9日 20時) (レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りな | 作成日時：2018年5月9日 18時
