実験6回目 ページ6
「なんで血を吸うようなこと…したの」
結局恐怖が打ち勝ち、最後の言葉は震えと掠り混じりだった。父の普通では無い異常な行為からの恐怖だ。すると父は両目を隠している包帯をするすると取ってこう言った。
「それは俺が、いや、俺だけじゃない、お前達双子も吸血鬼だからだ」
世界の時という時が止まったかのように思えた。この男は何を言っている？死んでいる母、血で濡れた床、あたし諸共吸血鬼だと言い張る父_________現場はまさに混沌の渦に巻かれていた。ありえない、こんな空想めいたおはなしでしかないこと_______
しかし父の目は真剣そのものだった。
「信じられないのなら、実際に吸えばいい」
ずいと既に温もりを失った母をあたしの前に差し出した。無理だよ、そんなことと口では言うが本能的には惹かれていることが分かる。喉が唾を飲み込む。母の腕に噛み付く。ぶり、と人肉をかじる。案外鶏肉のような噛みごたえだな、なんて呑気なことを考えていた。血を吸った。こんなのおかしい、気が狂ってるとしかいえないのに吸うのが止められない。嫌でも自分が吸血鬼だという事実に直面した。母を殺した誰か、自分が吸血鬼であること、こんなことを勧めた父、この世の全てが憎い。憎くて仕方ない、なのに、血を吸うことが止められない。
「ママ…ママごめんなさい…ごめんなさい」
部屋中に重く死臭が漂っていた。
初めて口にしたその血は甘美だったのかしょっぱかったのかは今となっては覚えていない。
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りな(プロフ) - 書き人知らずさん» ありがとうございます！そう言われると励みになります！これからも更新頑張ります！ (2018年5月19日 22時) (
レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - pixivsketchから飛んできました！拙い文なんかじゃないですよ。すごく面白いです。こちらでもpixivsketchでも絵や小説が更新されるのを楽しみにしていますね。 (2018年5月19日 22時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - イメージソングは「不完全な処遇」でお送りします。(黙れ) (2018年5月9日 20時) (レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りな | 作成日時：2018年5月9日 18時
