実験11回目 ページ11
午前10時。その時間に自動起動の設定を施された自分は目を開け、首に差し込まれた充電コードを抜く。
「おはよう、蘭丸」
そう声をかけたアリサは机に向かって何やら化学反応式や数式の書き連ねた紙とにらめっこしていた。
机には分厚い化学や数学の専門書がズラリと並んでいる。
「おはよう、アリサ。…そういえばアリサは文系科目はあまり勉強していないね？」
「…そこは私の専門外だからね。」
あ、今丁度甘い物が食べたかったんだよ、何か持ってきてくれない？と彼女は続けて言った。…上手く話をそらされた気がする。もしかしたらアリサは文系科目が苦手なのかもしれない。
台所までいくとメリヤスがいた。
「あら、おはよう蘭丸」
彼女は何かを袋に詰めながら言った。
「おはよう、メリヤス。ところで…その黒い物質は何？炭？」
「失礼ね！クッキーよ。今度友達に渡そうと思っているの」
メリヤスは料理は苦手、しかも無自覚、むしろそこが1番厄介っと…。とりあえず記憶したほうが誰かの身のためだろう。
「それ、少しもらってもいい？」
すると自慢げな顔で「ええ！あたしの自信作よ！どうぞ」と言った。その自信は一体どこから来るのか、とどこから見ても炭にしか見えないそれを見ながら思った。
台所を出てすぐあるリビングにカンナとアリサがいた。
「アリサ、はい、これ」
彼女はありがとう、と最初こそは明るい表情を見せたが、袋を開けて表情を曇らせた。
「………これ、食べ物？」
うん、と頷くとアリサは恐る恐るそれを口に運んだ。咀嚼音がゴリゴリと聞こえる。明らかにクッキーの音ではないな、これ。
「…見た目の割に味は普通」
なるほど、熱がしっかり通っているだけ食品としての安全性はいいらしい。
がははとカンナは笑って不味そうだけどな！と言ってメリヤスに殴られた。そっとしておこう。よく見ると机の上にビール缶がいくつか置いてあった。…この人、朝からできあがってるのか。
「11時になりました。続いてのニュースです。」テレビのニュース番組が送られている。
「…の町に連続通り魔殺人事件か。尚、2、3年前にも似た事件があり、犯人は未だ捕まっておらず、警察は事件の関連性を疑っているとの事です」
床に転がったカンナは次の獲物だな、とニヤリとかっこつけてまたメリヤスに殴られた。
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りな(プロフ) - 書き人知らずさん» ありがとうございます！そう言われると励みになります！これからも更新頑張ります！ (2018年5月19日 22時) (
レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - pixivsketchから飛んできました！拙い文なんかじゃないですよ。すごく面白いです。こちらでもpixivsketchでも絵や小説が更新されるのを楽しみにしていますね。 (2018年5月19日 22時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - イメージソングは「不完全な処遇」でお送りします。(黙れ) (2018年5月9日 20時) (レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りな | 作成日時：2018年5月9日 18時
