Live positively (ページ37)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:72,550 hit

俺とあいつ黄ページ37

黄side

他のメンバーは気にしてへんかもしれんけど、俺は気になることがある。

…村上くんと廣瀬のことや。

少し前、あいつが倒れたことがあってん。

俺たちが来た時には大倉しかおらんくて、
村上くんが廣瀬に付き添って帰った、って聞いた。廣瀬んちで看病してたんやって。

その辺りから、村上くんはめっちゃ廣瀬んこと気にかけとる。

廣瀬は相変わらずやけど。

あいつが一人でどこか行こうとすると、
『どこ行くん？』
楽屋にいないと、
『あいつ、どこ行ってん？』
村上くんの視線が常に廣瀬を追っとる。

……なんやろ。保護者？笑

それは冗談やけど、2人何かあったんかなって。

例えば、

例えば、なんやろ。

ん～…

そんなこと思うてると、収録終わりにトイレ出たとこでばったり会うた。

「あ、錦戸さん、お疲れ様です。」

「…ぉん。」

「そこの自販機で飲み物買うんですけど、何か飲まれます？」

「…じゃ、コーヒー。」

自販機前のソファーに座って、2人して缶を開ける。

「最近、よお村上くんに気にかけられとんなぁ。」

「そう、ですかね。」

「…なんかあったん？」

「なんか、とは？」

「廣瀬んちに村上くん行ったんやろ？」

「はい。」

「そん時。」

いつもヘラヘラしとる廣瀬の顔が、少し曇った気がした。

「…ははっ、何もないですよ？」

こいつは嘘をついてるんかどうなんかよおわからへん奴やねん。

追求せんかった。
やって、お前には関係あらへんって言われたらそれまでやん。

…結局俺は臆病やねん。

こんなに気になっとんのに何も出来ず足踏みしとる俺。

男が気になるとかあかんやろ。

あれだけ遊んできて、なんで男？

来るもの拒まず。
俺を好きやって言ってくる子達と遊んできた。
偽りの好きなんていくらでも言える。
やけど、本気の気持ちを自分から言うたのなんて、あん時が最後や。

10年以上前にあいつに言うたんが。

ーーーーーー

「Aが好きや。」

「なんの練習ですか？」

「は？いや、そういうんやなくて、」

「私で練習台になります？」

ーーーーーー

勇気を出して本気の告白をしたつもりやったんに、それがAには伝わっとらんで、
そのままあいつは行ってもうて、
俺の気持ちは着地点もなく宙ぶらりん。

その気持ちは俺の内にあって、今もなおくすぶっとる。