Live positively (ページ29)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:72,552 hit

俺とあいつ紫ページ29

紫side

咄嗟に廣瀬ん方を振り向いてんけど、
布団は静かに上下しとった。

「気のせい、やな。」

あの呼び方するんは、あいつだけやし。

ーーーーーー

デビュー前の合宿所

緑「A～、腹減った～。
なんか持っとらん？」

A「すみません、今日は何も持ってこなかったんです。
章くん、何か持ってます？」

青「あ～、ないわ。すまん。」

A「そうですか…

隆くんは、何か持ってます？」

橙「どしたん？」

A「たつくんが何か食べたいって言ってるんですけど。」

黒「大倉、さっきまでなんか食うてたやん。」

A「そうなんですか？」

緑「横山くん、適当なこと言わんといてよ。」

黒「ほんまのことや‼」

橙「ならほっといて平気ちゃう？」

緑「A～、腹減って死んでまう～」

A「侯くん‼た、たつくんが死んでしまうって言ってますけど…」

赤「おい‼お前らなんやねん‼うっさいわ。」
黄「ぅわっ、びっくりしたっ。」

A「あ、…すいません。」

赤「A、ちょおこっち来い。」

A「？…はい。」

赤「お前は、『はいはい』言うて人の話鵜呑みにし過ぎや。
危なっかし過ぎんねん。

…俺の話だけ聞いとればええねんで？」

「すばくん？」
ゴンッ
紫「お前が一番危ないわ‼」

赤「いっつ～」

紫「何しらっとAの肩組んどんねん。」

黄「A～、寂しいからこっち来て～？」

A「あ、はい。」

紫「お前もいちいち行かんでええねん。」

A「いや、亮くんが…」

ーーーーーー

口数少ない奴やけども、いつも当たり前のように俺らのそばにおって、俺らもそれが心地良かった。

無表情で、
物静かで、
何考えてるんかわかりづらい奴で、
いつかは絶対笑った顔見たるって思うてたけど、叶わんかった。

癖なんかいつも敬語やったA。
俺らは、始めは苗字に『君』付けて呼ばれておって、
あまりのよそよそしさに『名前で呼べや』って嫌がる本人に無理やり呼ばせた。

Aに『信くん』って呼ばれるんは気分良かった。
なんか特別って感じがしてん。

あぁ、そうやで。

俺は好きやった。

Aんこと。

俺だけやない、

他の奴らやってそうや。

みんなAが好きやった。