エイトの籠の鳥3 (ページ16)

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橙side

あんな光景を見たせいか、
その後のロケは僕のキレッキレのギャグも滑りっぱなし。

信ちゃんやって、一見平静を装うてたけど、
いつもよりツッコミ甘いし、
なんかもう、ウダウダやった。

ロケが終わってロケバスに乗り込んだら、
Aはいつも通りに僕達を待ってて、
それにホッとする気持ちと、
なんか隠し事しとるんやないかって疑う気持ちが合わさって、
モヤモヤしたものがスッキリせえへんかった。

いっそのこと聞いてみよかと思うて、
信ちゃんに目配せしたら『やめとけ』って口パクされてもうた。

気にならへんの？

気になる僕がおかしいん？

一人で考えてても気分晴れなくて、
次の日ヤスと大倉にその話をした。

青「はぁ⁉誰やそいつ‼」

緑「なんで、その場で乗り込まなかったん‼」

「いや、乗り込んだらあかんて。

信ちゃんも一緒やったけど、何も言わへんかったし…。
見て見ぬ振りするんやもん。」

青「やけど、普通に考えて知り合いやろな。
あんだけ人多いとこやったし…
偶然会うてお茶して、みたいな。」

緑「そんだけやったら、ええけどさ…

心配やん、俺らのモンやし。」

青「その言い方あかん。
Aは物ちゃうもん。」

ヤスの言う通り。

以前のことを帳消しにってわけにはいかへんけども、

大事に、
大事に、

壊れ物扱うように、

僕らはキミのこと想っとる。