・黒さん ページ4
黒side
「おはようございます。」
「なんや、またタマが一番や。」
笑顔で待っていた彼女。
知っていた。
誰より早く楽屋入りしとるんを。
早く来て、今日1日のスケジュールや流れを確認しとるんを。
(まったく、真面目な奴や。)
だから俺も早く来んねん。
そうすれば2人の時間が少しでも長くなる。
まぁ、他のメンバーも同じことを考えとるから、
今日は運良く一番のり、
いや、二番のりになれただけであって、
いっつもそうとは限らん。
デビューしてからずっと短いままやったタマの髪は、
10周年を機に伸ばし始めて肩より少し下くらいになってきた。
染めたのを見た事ない黒髪は、
サラサラしとって、
つい手を伸ばして触れたくなる。
楽屋ではあまり喋らない俺に対して、
居心地の悪そうなそぶりも見せないタマは、
早く楽屋入りして一人でいるのがすきってわけではなさそうやな、って思う。
まぁ、俺はええねん。
そばに居れれば。
この空気を、一緒に味わえれば。
雑誌を見るフリしながらタマを見ると、目が合うた。
「…コーヒー、飲みます？」
「あ、おん。」
コーヒーなんてどっちでも良かってんけど、頷いてもうた。
なぁタマ、
…好き、やで。
もう長いこと、
ずっと心の内に秘めてるこの気持ちを、
なんかの拍子に吐きだしてしまうそうなんやけど。
俺、どうしたらええ？
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作者名：芹生 | 作成日時：2017年3月27日 20時
