エイトとタマ2 (ページ20)

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タマ争奪戦1 黒さんページ20

黒side

今日は俺の出とる番組のロケ。

今回のゲストは…まさかのタマや。

「おはようございます。」

「おん、おはよう。」

(やばっ、
めっっっっちゃ嬉しい。)

仕事自体は予定通りスムーズに終わってロケバスに乗り込み、タマは俺に促されるまま一番後ろの窓側に座った。

俺はなんでもない風を装い、
少し間をあけて隣に座る。

「おつかれさん。」

「横山くんもお疲れ様でした。」

「どうやった？今日のロケ。」

「横山くんの番組にゲスト出演だなんて、
オファーもらった時すごく驚いたんです。

…緊張しましたけど、
楽しかったです。

横山くんには、
気を使わせてしまったかもしれませんが…」

「そんなことないで。
…俺も楽しかった。」

そのあと一言、二言言葉を交わしたけど、
すぐ隣から規則的な呼吸音が聞こえてきた。

隣を見るとコクッコクッと動く頭。

(昨日は遅くまで仕事って言うとったな。

今朝も早かったからほとんど寝とらんかったんやろ。)

俺はタマとの間隔を狭めると隣に寄り添うた。

もう少しで肩が触れる距離。

自分の心臓の音がめっちゃうるさく感じて目を瞑る。

(こんなにすきやのになぁ…)

不意に肩に感じる甘い重み。

サラサラの黒髪が首にも触れ、何とも言えない気持ちになった。

(タマ、寝とるよな？)

臆病な俺は、タマ…と静かに呼んで反応が無いことを確認すると、
もたれかかっとる彼女の頭に、そっと俺の頭をのせた。

(あ～もう…めっちゃ幸せや。)

目線の先に無防備に開かれた彼女の手の平を見つけると、上からそっと自分のものを重ね、優しく握った。

(ずっとこうしてたい。

すきやねん、タマ。)

彼女の穏やかな寝息を聞きながら、俺も静かに目を閉じた。