タマ争奪戦1 橙さん ページ18
橙side
「お邪魔します。」
「どうぞ〜。」
仕事終わり、帰路へと向かうタマを呼び止め、
僕ん家に寄ってかへん？と誘った。
幸い今日は、昼過ぎに収録は終わり時間も早い。
当の彼女は、お宅に伺うなんて…と、
渋っていたけど、まあまあと半ば強制的に連れて来た。
こういう時の僕は積極的。
「なんか飲まれます？」
「あ、いえ。お構いなく。」
部屋ん中を見渡す事もなく、
正座し、拳を握りしめたままの彼女。
「人のお宅にお邪魔する機会が皆無なもので、
…どうしたら良いものか。」
コーヒーを入れている僕に、彼女がそう言った。
「何言うてはりますの。
長年連れ添ったメンバーやのに。
適当に寛いで下さい。」
はい、とコーヒーカップを手渡すと、
ありがとうございます、と両手でそれを受け取った。
すきで
すきで
すきでたまらない。
ー無防備なキミ
僕のこと、少しは意識してくれてるのかな？
逆に、本当はなにか期待してる？
ここでキミを無理矢理モノにするのは簡単なのを、
わかってはるのかな？
………いや、
まさかもう、
すでに誰かのモノ？
心の中で渦巻くドロドロした感情。
「丸山くん？」
黙りこくったままの僕を不思議に思ったのか、
タマが声を掛けた。
僕を見つめるあの瞳。
「タマはさ、
…僕のことすき？」
「はい、すきです。」
僕の問いに至極当たり前のように答えた彼女。
その言葉を聞くや否や、
僕は彼女の両腕を掴み、
華奢な体ごと床に組み敷いた。
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作者名：芹生 | 作成日時：2017年3月27日 20時
