エイトとタマ2 (ページ15)

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タマ争奪戦1 緑さんページ15

緑side

「タマ～、
この後あいとる？」

収録後、一人になったタマを見計らって声掛けた。

「いえ、…ないですけど。」

「ならさ、どっか行かへん？」

「どっか、とは、
ん？大倉くん、この後撮影ありましたよね？」

「ちゃちゃっと終わらすから、
ちょぉ待っとって？」

「いや、
仕事ですから気合いを入れて、

「すみませーん！
田山さんちょっと来てもらっていいですか？」

「あ、はーい！
大倉くんすみません、ちょっと行ってきます。

撮影、頑張ってください！！」

話途中で呼ばれた彼女は、
俺に向かって小さくガッツポーズをして行ってもうた。

その小さな背中を目で追い、俺は盛大に溜息をつく。

撮影後ー

(はぁ…結局こんな時間やん。

ちゃんとタマ誘わんで良かったわ。
えらい待たせるとこやった。

機材のせいでこんなに時間かかるとは思わんかった。)

心の中で呟きながら控え室に入ると見知った後姿。

「は？」

間の抜けた声が自分から出た。

テーブルに突っ伏して上下する華奢な背中。

(…なに？……待っとったん？)

すやすやと眠るその横顔を見て、
笑みがこぼれた。

(何を思って、
待っとってくれたんやろ…。)

音を立てないようそっと隣に座って、
サラサラした黒髪と共に彼女の頭を何度か撫でた。

(あーもう、すき。

ほんますき。)

彼女が気持ち良さそうに微笑んだ気がした。

「…タマ。」

自分の発した声が、思うていたより掠れてて苦笑する。

「すき、やで。」

きっと聞こえていない俺の声。

(………このまま、キスしたら怒る？)

返事のない彼女の顔を見つめ、
俺はそっと彼女の唇に自分の唇を近付けた。