My important place2 (ページ5)

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「ん～…
だいぶ眼を酷使してる？」

定期的に訪れているかかりつけの眼科。

「特に自覚はないですけど…」

実家の近くにあるこの眼科は、物心ついた頃から母に連れられ受診していた。

私はオッドアイという片目だけ極端に灰色がかった瞳を持っている。
この珍しい瞳の色に、
母は視力障害を心配をしたようだった。

幸い何も問題は無かったが、
この瞳の色だと、小学校に入学してからいじめの原因になるのでは…と危惧した母が、医師に相談した。

『カラーコンタクトをしてはどうだろう』との提案を母は快諾し、小さい頃からこの瞳を隠すように母がコンタクトを入れてくれた。

月日が経ち、コンタクトの管理も自分で出来るようになってからは、かかりつけのこの眼科にも定期検診に行くだけ。

それでもこのコンタクトを外すのはなんとなく気が引け、外出する時は必ず装着していた。

両親が他界してから実家はもうここにはないが、
懐かしいこの地に足を踏み入れたくて、時間はかかってもわざわざこの病院を訪れる。

「…しばらくコンタクトはお休みした方が良いでしょうね。だいぶ眼に負担がかかってます。」

初めて受診した時の印象から変わらない、穏やかな年配の医師はそう言った。

「そう…ですか。」

「その瞳、素敵な色だよ。隠す必要なんてない。」

気落ちした私の声を聞いて医師は言った。

「堂々としてればいいんだよ。
それもキミの個性でしょう？勿体無い。」

医師の言葉に、
さらに背中を押され、眼科を後にした。