待人 黄 ページ39
クネクネと体を動かしながらそばに寄ってきたマルを軽く小突くと、大袈裟に痛がった姿を見て笑った。
ー待人ー
「外、うるさない？」
「ほんまやな。なんやろ？」
廊下の騒がしさに、マルが様子を見ようと部屋のドアに手を掛けようとした瞬間やった。
ガチャッ
ドンッ
「ぅわっ‼」
マルに体当たりするかのように誰か入ってきた。
ソファーに座っとった俺から見えるのは、
ヨロけたマルの背中と、開いたままのドアの隙間から見える廊下。
「はぁ、はぁ、」
そいつの荒い息遣いが部屋中に響く。
硬直しとるマル。
「誰？」
俺の質問に、マルは首だけこっちに回して困ったように眉を垂れ下げた後、
『わからん。』
口パクでそう言うた。
…は？やばい奴？
嫌な汗が滲んだ。
なら、はよなんとかせなあかんよな？
とりあえずマルから剥がさんと。
やけど…
危ないもんとか持ってたらどうすんねん。
頭ん中をぐるぐる色んな思いが巡ったまま、その場から立ち上がってマルの元に行く。
マルよりも小さいそいつは、
細い腕を伸ばしてマルの胸辺りに手をつき、
俯いたまま肩で息をしていた。
…スタッフの女？
「おい、誰や。」
俺の言葉に反応を示さない。
「おい‼」
怯ませたろ思て大きな声を出すと、
ようやくそいつは頭を上げた。
もう少しで顔が見えそう、
その時やった。
ガタンッ
「おいっ‼ここにいたぞ‼‼‼‼」
「大丈夫ですか⁉」
急に入ってきた数人の警備員。
警備員はそいつをマルから引き剥がすと同時にそいつの両腕を両側からガッチリと抱え込んだ。
乱れた髪からその顔がのぞく。
苦しそうに歪んだ顔。
その瞳は俺らを見た瞬間、大きく見開かれた。
思考が止まった。
「い、こま…」
…会えた。
やっと、
やっと…
導かれるように、足が生駒の元へ向かう。
生駒は微笑んだ。
俺を見て、
嬉しそうに。
あと数歩、
手が、
届く。
グイッ
「こっちに来なさい‼」
警備員に強く後方に引かれた生駒に、
その手が届くことはなかった。
大丈夫かと心配する警備員の対応に追われているマルを置いて連行されて行く生駒を追った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 269人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
芹生(プロフ) - ゆきねぇーさん、いつもコメントありがとうございます。予定していたよりも長くなってしまい、今作で完結は厳しくなってしまいました。すみません。続編もお付き合いいただけるようでしたら、是非ともよろしくお願い致します。 (2018年3月23日 12時) (
レス) id: a784c79873 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねぇー(プロフ) - ジャニーさんの冷たさが、ちょっとツボにはまる。小説だから、感情しだいでは、やさしさにも感じるし。意味を分かるのにおもしろくて。また、楽しみにしています・ (2018年3月22日 0時) (レス) id: 782068d67c (このIDを非表示/違反報告)
芹生(プロフ) - ゆきねぇーさん、いつもコメントありがとうございます。更新が止まってしまい、ご迷惑をお掛け致しました。冷たくされる時はとことん冷たく、その反対に想いが通じ合えば、優しく甘くあたたかく、ヒロインを大切にしたいです。 (2018年3月15日 14時) (レス) id: a784c79873 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねぇー(プロフ) - ついにきましたねー。みんな、あったかたいです。 (2018年3月14日 20時) (レス) id: 782068d67c (このIDを非表示/違反報告)
芹生(プロフ) - ゆきねぇーさん、返信が遅くなってすみません。このドキドキが自分も大好きです！ (2018年3月3日 13時) (レス) id: a784c79873 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芹生 | 作成日時：2018年1月8日 10時
