検索窓
今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:48,741 hit

最期の挨拶 ページ39

「廣瀬、
俺、幸せや。」



「はい、僕もです。」



満たされ過ぎて溢れ出てしまいそう。









僕のカラダに触れていた横山さんが僕の異変に手を止めた。







「ひろ、せ?」






「ははっ、
タイムリミット、みたいです。」









僕の言葉に横山さんはただ黙って強く抱きしめてくれた。






神様が僕にプレゼントをくれた本当の理由がわかった気がする。





こんな非現実的なことなんて起こり得るはずはない。
今日僕がいなくなった瞬間、僕という存在を知り得る全ての人から僕の記憶がなくなるのだ。


言わば最期の挨拶。


彼女と彼の記憶への最期の挨拶。









「廣瀬。」


「はい。」


「廣瀬。」


「…はい。」









「置いてかんでくれ。」









僕を見下ろす横山さんの目から零れ落ちた涙が、仰向けの僕の頰に伝う。




…いや、伝なかった。









僕をすり抜けた涙は、
僕の下にあるシーツのシミになった。









後悔はない。







ただただ幸せだった。









ほぼ消えつつある右手を横山さんの頰に伸ばした。








もう触れることも出来ない。









「横山さん、




僕が消えればその悲しみもなくなる。




夏の日の通り雨みたいに。」

誰か 黒→←タイムリミット



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (78 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
184人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

光婪(プロフ) - 芹生さん» 私も作品作ってますが文を考えるのは大変ですしごちゃごちゃにならないようにするのも大変です!焦らず素敵な作品作って欲しいと思ってます。作者様が迷惑だなんて思う必要はありませんよ!スランプ等は付き物です!お互い頑張りましょう^^* (2017年9月3日 20時) (レス) id: 9e395ba8f7 (このIDを非表示/違反報告)
芹生(プロフ) - 光婪さん、コメントありがとうございます。更新が遅く、御迷惑をおかけして申し訳ございません。そして応援頂きまして、本当にありがとうございます。これからもお付き合い頂ければ幸いです。 (2017年9月3日 19時) (レス) id: a784c79873 (このIDを非表示/違反報告)
光婪(プロフ) - はじめまして!1から読ませていただいてます!これからの展開にワクワクしながらたまに読み返したりしてます!がんばってください! (2017年9月3日 13時) (レス) id: 9e395ba8f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:芹生 | 作成日時:2017年8月7日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。