My important place (ページ7)

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頬を伝った涙を手の甲で拭うと、
ドアをノックする音が聞こえた。

返事をしようか迷っている間にドアが開く。

…ジャニーさんだった。

「目が覚めたって連絡があったから来てみたよ。
急に気を失ってしまったから驚いたけど、
すぐ病院に連れて来てよかった。

……3日間眠り続けていたんだ。

心身共に衰弱しきっていたんだろうって先生が言ってたよ。」

「……御心配をおかけして、すみませんでした。」

「そんな他人行儀はやめてくれよ。
小さい頃からみているキミは、僕の家族同然。

気を使わないでくれ。」

ジャニー喜多川。
知らない人はない多数のアイドルを輩出しているジャニーズ事務所の社長。

父は数カ月前までこの会社に勤めていた。
長年勤めていた父は、ジャニーさんとも家族ぐるみで仲が良く、私のこともとても可愛がってくれていた。

「……本当に言葉がないよ。

たまたま見ていた新聞記事にキミのご両親の名前を見つけた時は、信じられなかった。

まさかと思って調べさせて、
葬儀場へ足を運んだらキミが…」

ジャニーさんの言葉に私はうつむくしかなかった。

「……A。

こんな時にこんなことを言うのもなんだが、
一つ提案があるんだ。」

そう言われた私は視線を彼に向けた。